イメージ1:エサを食べるため、大きく開いたペリカンの口ばし。進化上極端に長くなった上前顎骨によって形成されている。現生種の鳥は全て歯を持っていない。(写真:アフロ)

 地球は46億年前に誕生したといわれています。そして生命は約40億年前に生まれ、わたしたちホモ・サピエンスの種が初めて現れたのは、およそ20万年前。地球の長い歴史を1年に置き換えた場合、人類は12月31日午後11時半過ぎにようやく出現したと例えられるほど、わたしたち人間の歩みは実は、とても短いものです。

 人類出現まで、地球はどのように環境を変え、生き物はどのように進化してきたのか―。古生物学者の池尻武仁博士(米国アラバマ自然史博物館客員研究員・アラバマ大地質科学部講師)が、世界の最新化石研究について報告します。


北米アラバマより“生物40億年のメッセージ”

 新年酉(トリ)年シリーズ第二弾。しかし今回はわずか数千年にすぎない「ニワトリの起源」から離れて、1億年以上に渡る鳥類の起源とそのマクロ進化に踏み入ってみたい。

前回のニワトリの記事はこちら:https://thepage.jp/detail/20170110-00000004-wordleaf)

 現在、非常にたくさんの鳥の種が世界各地に生息している。その中からどれでもいいので一つその姿を思い出していただきたい。ニワトリやダチョウ、ペリカン、ペンギン等どれでも構わない。その「口の構造」がどうなっているか、はっきり思い描ける方はどれほどいるだろうか?そして鳥の口の中を(あらためて)じっくりのぞきこんでみたことはあるだろうか?

 「トリの口の中などいちいちかまっていられない」という声が聞こえてきそうだ。鳥の口の構造は非常に特殊だ。我々人間のものとはかなり大きく異なっている。そして鳥の先祖と考えられる中生代の獣脚類の一グループに属する恐竜のものと比べてみても、はっきりとした違いがみられる。

 全てのトリはいわゆる「口ばし」というものを持っている(Image 1参照)。ペリカンのような非常に大きく見栄えのするものもあれば、ハチドリのように先が鋭く尖っているタイプものもある。こうしたさまざまな口ばしは、その進化上、それぞれに特殊で洗練された食生活を支えるために重要と考えられる。例えば水中に潜む魚をすくいあげたり、小さな花にたまった蜜をかき集めたりすることに適したものなど多種多様だ。さらに羽をつくろったり、雛にえさを与えたり、捕食者から身を守ったり、さまざまな他の役目を果たすこともある。

 羽と化した鳥の前腕は、我々(哺乳類)から見て不都合極まりない。両腕をしばられたまま回転寿司でトロや鉄火巻きを器用につまむことは拷問にも等しいだろう。しかし、自由に使える両腕をフルに活用している多くの哺乳類や爬虫類と比べて、鳥たちはその特殊な口ばしを器用に使って生を謳歌している。特に不自由はないようだ。文句の一つ聞いたこともない。何千万年という期間を生き延び、さらに多様性を遂げ続けている事実には、それなりの重みがある。

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