安倍首相は10日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と首脳会談を行いました。トランプ氏は日本の通商政策や為替についてほとんど言及せず、とりあえず両国関係の重要性を再認識するという無難な形で会談を終えました。経済分野に関する具体的な協議については、今後、新設される日米経済対話の場で行われることになります。

両国の経済関係は良好とアピール

(ロイター/アフロ)

 事前の観測では、トランプ氏が貿易や為替について日本側に厳しい要求を出すとの見方もありましたが、会談でのトランプ氏は礼儀正しく、ツイッターなどで行ってきた激しい日本批判は一切、口にしませんでした。安倍氏は日本メーカーが米国の雇用に貢献していることを説明。トランプ氏もこれに理解を示したことで、両国の経済関係は良好であることをまずはアピールしたわけです。

 とはいえ、トランプ政権が日本に対する経済的な要求を封印したのかはまだ分かりません。首脳会談では、麻生副総理とペンス副大統領をトップとする日米経済対話を新設することで合意しています。貿易や為替に関する具体的な協議はこの場で行われることになりますから、経済対話の中で米国側がどのような交渉材料を提示してくるのかについては白紙の状態です。ある意味で、今回の首脳会談は実務交渉をスタートさせる前のセレモニーといってよいでしょう。

トランプ氏は穏健な通商政策を目指すのか?

 ただ首脳会談前後の状況から、米国側の出方もある程度は見通せるようになってきました。安倍氏が政府専用機に乗って米国に向かっている最中の9日、トランプ氏は突如、中国の習近平国家主席と電話で会談し、中国本土と台湾は不可分だとする「一つの中国」の原則を尊重すると中国側に伝えました。トランプ氏はこれまで、台湾の蔡英文総統と異例の電話会談を行うなど、中国側を挑発する行動を取ってきましたが、中国に対しては明確に譲歩の意思を示し、貿易交渉を優先させるスタンスを明らかにしたといえます。

 中国に対しては敵対的にならず、貿易のパートナーとして実務的な交渉を行うというスタンスなのであれば、オバマ政権の通商戦略が継続するということを意味しています。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定からの離脱を宣言したとはいえ、各国に対して苛烈な要望を突きつけ、半ば貿易戦争になるような状況はトランプ氏も望んでいないことがはっきりしたわけです。

 穏健な通商政策が大前提ということであれば、今後の日米経済対話も、かなり実務的なレベルでの協議ということになる可能性が高いでしょう。

(The Capital Tribune Japan)