不正会計や原子力事業の巨大損失問題でメディアの注目を浴びる東芝が、転職サイトのDODAで「危機発生時のメディアコントロール」を担う広報担当者を募集、ネットでは「大っぴらに言っちゃっていいのか」などと話題になりました。情報操作やプロパガンダ担当のようにも聞こえますが、実際、そんな仕事はあるのでしょうか?

東芝は「正確に伝えたいという意味あい」と説明

東芝の決算発表を取りやめに混乱する報道陣=2017年2月14日(写真:長田洋平/アフロ)

 サイトに掲載された職務概要には「積極的にメディアとリレーションシップを築き、危機発生時等はメディアコントロールをご担当いただきます」という文言が記載されていました。

 東芝の説明によると、「エネルギーシステムソリューション事業部門の方針やメッセージをステイクホルダーに正確に伝えたいという意味あい」だそう。一方で、同社は「採用活動が終了した」として17日に、この広告を掲載終了にしています。

 しかし、「メディアコントロール」という言葉の響きには、どこか私たちの知る権利がねじ曲げられそうな雰囲気があり、気持ち悪さが拭いきれません。

そもそもメディアのコントロールはできない

厳しい説明を求められた佐藤良二・監査委員会委員長(写真:長田洋平/アフロ)

 企業の不祥事発生時などの広報活動にくわしい広報コンサルタントの石川慶子さんは、「メディアコントロールという言葉には本当にびっくりした」と話し、東芝が穏やかでない「メディアコントロール」という職種を募集したことに「東芝側の企業コミュニケーションに対する認識不足があったのではないか」と企業広報業務に対する東芝の認識不足の可能性を指摘しました。

 そのうえで「広報は、記者を通じて社会の流れを知ることができるポジションにあり、メディアとの関係から知り得た外の情報を社内に還流して、社内外の温度差をなくす役割を担える」と広報の役割を説明します。

 石川さんは「危機発生時において、情報を精査するとともにタイミングを見計らって提供する、という職務を想定していたのかもしれない」と東芝側の狙いをくみとりながら、理解を示す一方で、「広報の世界には、メディアリレーションズやクライシスコミュニケーションの専門家はいても、メディアコントロールの専門家はいないし、そもそもメディアのコントロールなんかできるものではない」と指摘します。

 それを含めて「メディアと信頼関係を構築するのが広報のミッションの1つであり、メディアコントロールではなく、メディアリレーションズという言葉を使うべきだった」(石川さん)と話しています。

(取材・文:具志堅浩二)

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