「生徒の成長が実感できる」。生徒がたくさんの経験を経て、育っていく様子を笑顔で話す高橋紘子コーチ=イトマンスイミングスクール昭和の森校(撮影:近藤悠喜)

 少子化を背景に、子どもの早期教育に関心を持つ父母が増えている。時代の変化に合わせ、幼児教室の種類も広がりをみせているが、初めての習い事として、常に高い人気を保っているのがスイミング教室だ。だが、単に水泳を覚えるだけではなく、子どもたちの心も身体も鍛える最初の教育の場として、指導に取り組むスイミングスクールがある。将来必要となる人間力育成のステップを盛り込んだ独自の実践を探った。

スイミングは教育の場

 「先生、こんにちは」。
 JR昭島駅前に広がる緑豊かな東京都昭島市・昭和の森の一角。そこにイトマンスイミングスクール(本社・東京都新宿区)昭和の森校がある。3月初め、2015年秋完成の新しいプールサイドに、小さな子どもたちの元気なあいさつの声が響いた。

 もともと同スクールは、1964年東京五輪のとき、期待された日本競泳陣が銅メダル1個にとどまってしまったことをきっかけに、世界トップスイマー育成を目指し、72年に創業。以来、ロンドン五輪銀メダリストの背泳ぎで活躍する入江陵介選手が所属するなど五輪選手を数々輩出してきた国内を代表する水泳界の名門スクールだ。だが、最も大切にしているのは心の育成。ただ泳げるようにするだけではなく、水泳を通して心を鍛える教育機関として、生徒を指導している。

 「見て、見て。これ何だかわかるかな」。子どもたちに負けない大きな声と明るい笑顔が印象的な高橋紘子コーチ(29)。この日、新クラスに進級して、それまで腕に着けていた浮き輪の補助具を外し、ちょっぴり緊張気味の生徒を前に、身振り手振りを交えながらビート板の使い方をわかりやすく説明していた。

 「水泳の一番の特徴は習わなければできない、ということです」。高橋コーチは言う。「怖い子は水に入ることもできない。だから不安でいっぱいの気持ちを取り除いてあげるところから始めます」。順番にプールに入り、体をビート板にのせて、基本であるバタ足の練習を何度も繰り返す子どもたちの顔には、だんだんと自信に満ちた笑顔が広がっていった。

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