高橋是清(左)『歴史寫眞』昭和十一年四月「帝都不祥事件特集」號

 原内閣時代に大蔵大臣としての財政政策の手腕を買われ、第20代内閣総理大臣となった 原内閣時代に大蔵大臣としての財政政策の手腕を買われ、第20代内閣総理大臣となった高橋是清。2・26事件で暗殺されてしまいましたが、金融恐慌時に日本経済の立て直しを図り、国を破産から救った敏腕は、わが国最強の財政家として、最近の政治家からも高く評価されています。

 日本のケインズ、日本最強の財政家として名高い高橋の基礎となったと思われる投資家としての側面を市場経済研究所の鍋島高明さんが解説します。

  日本のケインズも相場が好きだった

  先年、NHKテレビが特別番組で高橋是清の半生をドラマ化したとき、冒頭のシーンは日本橋蛎殻町の米穀仲買の店頭だった。高橋はみずから相場もやれば、友人と仲買店を経営したこともある。

 高橋是清は「日本のケインズ」と呼ばれる。2人はともに財政出動によって景気回復を実現する理論と実践の持ち主だった。高橋が2.26事件で凶刃に倒れた昭和11年、ケインズの「一般理論」が完成するのだから、高橋の先見性は凄いといえよう。

 高橋の相場初体験は明治13年、26歳のときで大学予備門(東大の前身)の教師のかたわら翻訳の副収入でたくわえた4500円(現在なら1000万円超か)の大金を横浜の為替相場に賭けた。すると、2週間ばかりで1000円の利益が出て、滑り出しは好調だったが、他人任せでもうかるほど相場は甘いものではない。

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