「50年後の静岡県は多文化共生・多民族共生の社会を目指す」と語る川勝平太知事=静岡県東京事務所(撮影:倉谷清文)

 昨年公表の国勢調査で日本の総人口が減少に転じ、自治体の人口減少をどのように捉えるか実施した首長インタビューで、静岡県の川勝平太知事は、県外への人口流出が増えた要因として、東日本大震災後に海辺のまちから内陸への移転が増加したことや、若い世代の憧れによる東京への転出など「心」の面での影響を挙げた。

 一方で対策として、在学中に切れ目なく静岡県の情報を届けるため、県外の大学と協定を結んだことや、世界クラスの自然、食材の王国という理想郷であることの情報発信などで多様な移住希望者を迎える「ポスト東京時代」を創ることに意欲を示した。

人口減少時代

社会減拡大 東日本大震災の後、海辺のまちから転出増

 静岡県は2007年の379万7000人をピークに人口減少が始まり、現在は約370万人(2015年国勢調査)、2040年は現時点より約66万人以上少ない303万5000人になると見込んでいる(国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」2013年3月推計)。また2016年の転入者数から転出者数を引いた数が、全国で4番目に多いマイナス6390人となるなど(総務省「住民基本台帳」)、近年の社会減拡大が課題になっている。

 川勝知事は、歴史を振り返り、過去の日本の人口停滞は「女性が活躍しているとき」や「女性が生を謳歌できる平和な時代」に共通して起こっていると指摘。現在の少子化による人口減、いわゆる自然減についても「女性のルネッサンスが本格的に起こっている」ととらえ、「ワーク・アンド・ライフバランスが当然の課題になってきた」と考えを述べた。その上で「(合計特殊出生率など)数字の後ろには家庭の意思が表れている」、「県民の理想の家庭(子どもを持ちたい数)を見失わないようにしたい」と、2014年に国に先駆け、いち早く「人口減少対策問題に関する有識者会議」を立ち上げた狙いを明かした。

 合わせて昨年2月には、「いろいろな生活、暮らしの選択を提供したい」と子育て世代の移住や定住の参考になるよう、県内35全市町の出生率に関する詳細にした冊子「ふじのくに少子化突破戦略の羅針盤」の取り組みを紹介。同様に、東京からの移住促進には、山梨など近隣県の広域で連携していることを話した。

 転出が多い要因としては、東海・東南海・南海地震に備え、1979年から2兆数千億円もの予算で耐震・津波対策を投じてきたものの、「海辺のまちの流出は際立っている」と東日本大震災による心理的影響があったと分析。また、地元の情報を詳しく知らないまま高卒後に上京し、仕事などの理由で東京から戻れなくなっていく状況を「蟻地獄」と例え、若い世代のそうした移動パターンを変えるべく、昨年までに静岡県出身の学生が多い進学先の大学15校と協定を締結、「静岡の情報を4年間満遍なく」大学の就職部などに出し続ける、と説明した。