日銀・黒田総裁会合後の会見1月31日(THE PAGE編集部)

 日銀は16日、金融政策決定会合を開き、現行の金融緩和政策の維持を決めた。午後3時半から黒田東彦総裁が記者会見して決定内容などを説明する。

 引き続き、短期金利はマイナス0.1%、長期金利はゼロ%程度で推移させる。国内景気については「緩やかな回復基調を続けている」との現状判断を据え置いた。

【中継録画】日銀が金融緩和策を維持 黒田総裁が午後3時半から会見

本日の決定会合の決定内容とその理由について

産経新聞:幹事社の産経新聞です。よろしくお願いいたします。まず1点、本日の決定会合の決定内容と、その理由についてお聞かせください。

黒田:はい。本日の決定会合では長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールの下で、これまでの金融市場調節方針を維持することを賛成多数で決定しました。すなわち短期金利について日本銀行当座預金のうち、政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用するとともに、長期金利について10年物国債金利が0%程度で推移するよう長期国債の買い入れを行います。買い入れ額についてはおおむね現状程度、買い入れペース。すなわち保有残高の増加額、年間約80兆円をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営することとします。

 また長期国債以外の資産買い入れに関しては、これまでの買い入れ方針を継続することを賛成多数で決定しました。わが国の景気については緩やかな回復基調を続けています。やや詳しく申し上げますと、海外経済は新興国の一部に弱さが残るものの緩やかな成長が続いています。そうした下で輸出は持ち直しています。国内需要の面では設備投資は企業収益が改善する中で、緩やかな増加基調にあります。

 個人消費は雇用、所得環境の着実な改善を背景に底堅く推移しています。この間、住宅投資と公共投資は横ばい圏内の動きとなっています。以上の内外需要の緩やかな増加に加え、在庫調整の進捗を繁栄して、鉱工業生産は持ち直しています。また金融環境については極めて緩和した状態にあります。

 先行きについては、わが国経済は緩やかな拡大に転じていくとみられます。国内需要は極めて緩和的な金融環境や政府の大型経済対策による財政支出などを背景に、企業、家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続する下で増加基調をたどると考えられます。輸出も海外経済の改善を背景として、基調として緩やかに増加するとみられます。

 物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は0%程度となっています。予想物価上昇率は弱含みの局面が続いています。先行きについては消費者物価の前年比はエネルギー価格の動きを反映して0%程度から小幅のプラスに転じたあと、マクロ的な受給バランスが改善し、中長期的な予想物価上昇率も高まるにつれて、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられます。

 リスク要因としては米国経済の動向や、その下での金融政策運営が国際金融市場に及ぼす影響。中国をはじめとする新興国、資源国経済の動向。英国のEU離脱問題の帰趨や、その影響。金融セクターを含む欧州債務問題の展開。地政学的リスクなどが挙げられます。日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。

 また生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続します。今後とも、経済物価金融情勢を踏まえ、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため必要な政策の〓調節 00:04:42〓を行います。

産経新聞:2点目の質問、お願いします。米国が堅調の経済指標や物価情勢を踏まえて利上げを決めました。一方でECBも昨年12月の理事会で今年末までの緩和延長を決めてはいるものの、ユーロ圏内の2月の消費者物価指数は前年同月比で2%上昇しています。日本の物価上昇は取り残されているともいえるのではないでしょうかと思います。各国の事情も踏まえて、それぞれの理由についてどう捉えていらっしゃるか、お聞かせください。

黒田:米国、欧州、およびわが国の消費者物価の動向を見ますと、既往の原油価格の下落に伴う押し下げ寄与が縮小する下で、いずれの地域においても、いわゆるヘッドラインの物価上昇率が高まる傾向にある点では共通しているわけですが、エネルギー価格を除いた基調的な物価の動きには差があります。すなわち米国では労働市場で雇用が拡大し、賃金が緩やかな上昇を続ける下で、コアベースのインフレ率は前年比プラス1%台後半での推移を続けております。

 欧州ではコアベースのインフレ率は前年比プラス1%弱で推移しており、この点、ECBは基調的なインフレ率の上昇トレンドはまだ明確に見られていないとしております。この間、わが国では生鮮食品を除く消費者物価の前年比は1月はプラス0.1%と、2015年12月以来のプラスに転じましたが、生鮮食品とエネルギーを除くベースで見ると、昨年初以降、前年比プラス幅の縮小傾向が続いたあと、このところは一進一退の動きとなっており、1月はプラス0.2%となっております。

 こうした動向を踏まえ、物価については2%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されているがなお、力強さに欠けていると判断しております。もっとも先行きについては、展望レポートで示しているとおり、マクロ的な需給バランスが改善し、中長期的な予想物価上昇率も高まるにつれて、2%に向けて上昇率を高めていくと考えております。日本銀行としては今後とも2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するため、現在の長短金利付き量的・質的金融緩和の下で強力な金融緩和をしっかりと推進していく所存でございます。

産経新聞:3点目の質問です。昨日、春闘の集中回答日の結果、小幅ながら4年連続でベア実施となる見通しとなりました。今年の春闘の受け止めと、物価に与える影響はどう見ていらっしゃるかお聞かせください。

黒田:はい。ご案内のとおり、春闘については現在、労使間で交渉が行われておりまして、全体の賃金設定動向には、なお、見極めが必要な状況であるというふうに考えております。その上で昨日の大企業の集中回答の結果を見ますと、多くの企業において4年連続でベースアップの実施が見込まれております。

 従来から申し上げましておりますとおり、日本銀行は企業収益や賃金の上昇を伴いながら消費者物価上昇率が緩やかに高まっていくという好循環を作り出していくことを目指しております。4年連続でのベースアップの実現、実施に向けた動きはこうした経済の好循環の実現を後押しするものであると思います。今後とも労使双方において好循環実現に向けた前向きの取り向きが広がっていくことを強く期待しております。

産経新聞:ありがとうございました。各社さんお願いします。

黒田:はい、どうぞ。

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