2番打者のペゲーロが楽天打線を超攻撃的に変えている(写真・黒田史夫)

やっぱりプロ野球は面白い。開幕直前に新エース、岸孝之(32)をインフルエンザで欠き緊急事態に陥った楽天が開幕3連勝。その原動力となったのが、2番に2年目の助っ人、カルロス・ペゲーロ(30)を入れ、ウィーラー(30)、アマダー(30)と並べた異色の打線だ。メジャーで、ここ数年のトレンドとなっている「2番最強打者論」を楽天が戦術として持ち込んだもの。日本では定着しなかった「2番最強打者論」が、ひょっとすると今シーズンのパ・リーグに革命を引き起こすかもしれない。

 開幕3連戦で2度も敵地のヒーローインタビューに立ったのが、「最強2番」のペゲーロだった。
 開幕戦は延長11回に決勝2ラン。第3戦でも3-4の1点ビハインドで迎えた9回に、WBC戦士でオリックスの守護神である平野から逆転の2ランを放った。3試合の打率は実に.583。好調理由を「バッターボックスに立つときに集中力を高め、我慢しながら甘いボールを待っている」と答える。

 楽天は3試合で得点イニングが10度あったが、そのうち7イニングでペゲーロが得点に絡んだ。出塁率が.667。1番の茂木も打率.313、出塁率が.353と当たっていて、1、2番が機能した。もちろん最強2番のペゲーロに、いかなる状況でもバントはない。超攻撃的な野球である。3番のウィラーにまだヒットが1本も出ていないが、彼が打ち始めたら、さらに打線が活性化するのは間違いない。
 
 実は、メジャーでは、この2番打者最強論が、ここ数年のトレンドとなっている。
昨季の両リーグのMVPは、いずれも2番打者だった。ワールドシリーズを制覇したカブスのクリス・ブライアントは、チーム最多の39本塁打、打率.292、102打点で、ナ・リーグのMVP。またア・リーグMVPのエンゼルスのマイク・トラウトも打率.315、29本、100打点の数字をマークしている。

 他球団を見渡しても、2015年の2人のMVP、ブルージェイズのジョシュ・ドナルドソン、ナショナルズのブライス・ハーパー、昨季の新人王を獲得したドジャースのコリー・シーガー、カブスとワールドシリーズを戦ったインディアンスのジェーソン・キプニスも23本塁打を誇る強打者。昨季は、30チーム中、13チームの2番打者が20本塁打以上を記録している。

 メジャーが2番最強論を採用している理由にはセイバーメトリクスの考えが強く影響している。得点力をアップするためには、当然、2番のバントという選択肢は消え、打線をつなぐという発想に行きつく。データから見ると、出塁率の高い選手を並べると打線がつながり、逆に長打率の高い選手は、並べない方が得点率は高かまるという。そこで出てきた発想が、OPS(出塁率プラス長打率)の高い打者を1番から順番に並べるというもの。しかも、2番打者は、3番や4番打者よりも、年間ですると17、18打席平均で打席数が増える。強打者に少しでも打撃チャンスを増やしたいという確率論である。

 立ち上がりから心理的プレッシャーを与えることになり、小技でつなぐ2番打者よりも、大量得点につながるケースも増える。梨田監督は「初回からプレッシャーをかけたい」とペゲーロ2番論の理由を説明しているが、まさに相手バッテリーへの心理的プレッシャーは、これだけ打つと、増すことになるだろう。