長年にわたって議論が続けられてきた農協改革がようやく具体的に動き始めました。農作物や農業機械など取引形態を見直す改革案が発表されましたが、一部からは「改革をやります」というアリバイ作りに終わるのではないかと懸念する声も聞かれます。

JA全農が自己改革案発表、農協が「スシロー」に直接米を納入も

 全国農業協同組合連合会(JA全農)は3月28日、コメの直販比率引き上げや価格の安い中古農業機械の販売促進などを盛り込んだ改革案を発表しました。小売や外食にコメを直接販売することで効率的な生産につなげることが狙いです。これまで農協が農家から預かったコメは多くの中間業者を経て小売店や外食産業に提供されていました。今後は農協が直接、コメを販売することで中間コストを削減します。具体的には回転寿司チェーン「スシロー」に農協が直接米を納入するといったケースが想定されています。

 農業協同組合(JA)は農業従事者や農業を営む法人によって組織された協同組合ですが、組織が複雑で外部からは分かりにくい構造になっています。各地域には実務を行う地域農協があり、地域農協を取りまとめる中央組織として全国農業協同組合中央会(JA全中)が存在しています。また農産物の集荷や販売を一手に担うJA全農や、生命保険や損害保険のサービスを提供する全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)などの組織もあります。JA全中は政治団体、JA全農は農業商社、JA共済連は主に農家を対象とした保険会社と考えればよいでしょう。今回、流通改革を行うのはJA全農です。

農協ってどんな組織?

 もともと農協は立場の弱い農家を保護する目的で設立されました。農協に農作物を収めていれば確実に代金が回収でき、企業から買いたたかれることもないので農家は安心して農作物を作ることができました。さらに農協を通じて農業機械を購入したり、そのためのローンについても対応するなど、まさに至れり尽くせりだったわけです。

 しかし農協の規模が肥大化するにつれてその弊害も目立つようになってきました。今回、改革を行うJA全農は年間の売上高が5兆円近くに達するなど巨大企業となっています。すべてがそうではありませんが、一部では、農協に利益を搾取されているのではないかと感じる農家も増えているともいわれます。

 農家のために存在するという、農協本来の目的に立ち返ることが今回の改革の主目的ですが、流通の効率化で得られた利益を農家に還元できなければ、改革を行った意味はありません。この改革案が本当に意味のあるものなのかを判断するには、農家の経営がどれだけ上向いたのかについて検証していく必要があるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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