米フロリダ州で行われていた米中首脳会談が終了しました。トランプ政権は貿易不均衡の是正を強く主張していたこともあり、今回の会談には全世界が注目していました。今回の会談で世界経済はどう変わるのでしょうか。

米中首脳会談 会談後、別荘を散策(写真:ロイター/アフロ)

 トランプ政権は米国第一主義を掲げており、貿易不均衡の是正を通商政策の柱に据えています。2016年における米国の貿易収支は約5000億ドル(約55兆円)の赤字となっています。2006年には赤字額は7000億ドルを超えていましたから、当時と比較すれば赤字額は減っていますが、トランプ政権は依然としてこれを問題視しています。米国が抱える貿易赤字のうち約6割が対中赤字であり、トランプ氏は何度も中国を批判する発言を行ってきました。今回の会談では通商政策でどのようなやり取りが行われるのか全世界が注目していたわけです。

 当初はトランプ氏が中国側を強く牽制する動きに出ると思われていましたが、意外にもトランプ氏の対応は冷静でした。両国は貿易不均衡の是正に向けた「100日計画」の実施で合意。貿易不均衡については、これから時間をかけて取り組んでいく方針を確認しました。トランプ氏は自身のツイッターでも、中国との間には「善意と友情が育まれた」として友好関係を確立したことをアピールするとともに「通商問題については時間の経過を待つしかない」として長期戦で取り組む構えを示唆しています。

 通商問題の今後については6月頃がひとつの注目ポイントとなりそうです。トランプ大統領は3月31日、米中首脳会談に先立ち、貿易不均衡是正に関する大統領令に署名しています。これは関係省庁に対して、90日以内に貿易不均衡の実態に関する調査を行い、大統領に報告することを指示したものです。トランプ氏は、貿易不均衡によって米国が損害を被っている場合には法的措置も辞さないとの発言を行っていますが、この大統領令に基づく報告に中国が入るかどうかが大きな分かれ目となります。

 米国は制裁発動をちらつかせつつ、中国からの譲歩を引き出す作戦であり、これからしばらくの間、実務レベルでの神経戦が続くことになりそうです。

 今回の会談について市場では、性急な動きがなかったことで安心感が広がっています。中国の内需拡大策など、包括的な形で貿易不均衡の是正が進めば、世界経済にはそれほど大きな打撃にならずに済むかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)