図們大橋の向こうは北朝鮮(撮影:村田次郎)

 中国と北朝鮮との国境に、「延辺朝鮮族自治州」という地域がある。

 中国・吉林省の東南部、北朝鮮の北東側に位置し、漢民族が過半数以上、朝鮮族は4割を占める。州都は延吉市。戦前は満州国でもあったところだ。この地を訪れる前、北朝鮮の報道などのイメージから勝手に”暗いもの”を想像していた。しかし、想像とは全く違う世界が広がっていた。図們(ともん)市にある国境は、観光地になっているのだ。

 主に中国人が多いが、ツアーでやってきた韓国人もちらほら。図們大橋の100メートルほどだが、中国領の橋の上を歩くことができる。

【フォトジャーナル】北朝鮮が見える街 中国延辺朝鮮族自治州 村田次郎

図們市国境近く 豆満江の向こうは北朝鮮(撮影:村田次郎)

 ちなみにどこの国境でも北朝鮮領へ向けての写真は“原則禁止”になっている。しかし、記念撮影好きの中国人には、そんな注意・警告は通用しない。ここでは誰もが北朝鮮に向けて記念写真を撮っている。

 川に中州があり、300~400メートル先には北朝鮮の街を少しだけ見ることができる。観察してみると、木々がないハゲ山がある。1990年代の大飢饉のときに石炭不足になり、森林の木を伐採して薪にした名残なのか。豆満江の対岸には、よく見ると3人の北朝鮮兵士が機関銃を持ち、双眼鏡でこちらを偵察している。迷彩服を着ているので分かりにくいが木陰で休んでいる者もいる。ガイドはまくしたてるように言う。

 「今は絶対にカメラを向けないでくださいね!絶対ですよ!!」と。

軍春市国境(撮影:村田次郎)

撮影場所:中国 吉林省 延辺朝鮮族自治州 2013年 6月

※この記事は村田次郎の「【フォトジャーナル】北朝鮮が見える街 中国延辺朝鮮族自治州」の一部を抜粋したものです。