北朝鮮をめぐる情勢がにわかに緊迫化しています。アメリカは北朝鮮に非核化を求めてきた過去の政策を「失敗だった」と総括。今月に入り、原子力空母「カール・ビンソン」を朝鮮半島近海に派遣しています。北朝鮮は16日にミサイル発射に失敗しましたが、引き続きミサイル発射と6回目の核実験が行われる可能性があります。これまでの対北朝鮮政策を転換した米トランプ政権の「本気度」と金正恩政権の今後の対応をどう見るか。元航空自衛隊幹部の数多久遠氏に2回に分けて寄稿してもらいました。

 前編は「米国の本気度」、後編は「緊迫化の着地点」です。

【図】北ミサイルはどこまで脅威なのか(上)日本の迎撃能力を超える量と技術も

今回の米国の最終目的と目標は?

[写真]核開発を続ける北朝鮮に対して強硬姿勢を打ち出すトランプ米大統領(ロイター/アフロ)

 現在、北朝鮮情勢が緊迫している理由は、トランプ大統領の強硬姿勢にあります。オバマ政権下では、核実験もミサイル発射も、非難を浴びながら、ある意味淡々と続けられてきました。北朝鮮の動きは、ブレがありません。

 では、変化したアメリカ側は、何を目的として、何を目標としているのでしょうか?

 アメリカの目的は明確です。北朝鮮の核ミサイルによる脅威から、米国本土を守ることにあります。 永続的に守るためには、金正恩体制の打破が必要であり、アメリカも、それを望んではいますが、現時点において実現可能な目的ではありません。

 これまでは、北朝鮮による核及びミサイルの開発を、経済封鎖などの国際圧力によって押え込みながら、もう一方で弾道ミサイル迎撃能力を向上させ、例え核ミサイルが発射されても、迎撃可能な態勢の構築を目指してきました。

 ということは、現在の危機の焦点は、トランプ政権が演出する情勢緊迫が、従来と同様に北朝鮮による核及びミサイル開発の鈍化を狙うものなのか、そうではなく、核及びミサイル開発能力の除去にあるのかです。

 先日も「米軍が北朝鮮を4月27日に空爆する」というデマニュースが流れましたが、こうしたニュースが拡散する理由は、多くの人がそれを懸念しているからです。シリア軍基地を空爆させたトランプ大統領ならやりかねない、という訳です。