王者の八重樫(左)は暫定王者のメリンド(右)と統一戦(写真・山口裕朗)

2日間で5つの世界戦が開催される『ボクシングフェス2017 SUPER 2 DAYS』が、今日から有明コロシアムで始まるが、日本ボクシング界の歴史を塗り替える偉業が達成されるかもしれない。世界の主要4団体、WBC、WBA、WBO、IBFのライトフライ級の王者をすべて日本人が独占する可能性があるのだ。
 
 20日に有明でWBC世界ライトフライ級王者のガニガン・ロペス(35、メキシコ)のベルトに同級4位の拳四朗(25、BMB)が挑戦、同日WB0世界ライトフライ級王者の田中恒成(21、畑中)が名古屋で同級1位のアンヘル・アコスタ(26、プエルトリコ)と初防衛戦を行うが、拳四朗が新王者となり、田中が初防衛に成功すれば、この時点で、WBAの同級王座を5度防衛している田口良一(30、ワタナベ)、IBF同級王座の統一戦を21日に控える八重樫東(34、大橋)と、ライトフライ級の世界4団体のベルトをすべて日本人が独占することになるのだ。JBCが、WBA、WBCに続き、WBO、IBFの世界タイトルを承認、加盟したのが2013 年。4年目にして歴史的な瞬間が訪れることになる。

 だが、拳四朗はプロ10戦目での世界初挑戦。田中も16勝16KO無敗のパーフェクトレコーダーとの指名試合、しかも八重樫は、暫定王者のミラン・メリンド(29、比国)との統一戦という大きなハードルをクリアしててこそ成立する偉業で決して簡単ではない。
 
 試合時間から追うと、先陣をきるのは、名古屋での2階級王者、田中の初防衛戦だ。アコスタは、アマチュアでは184戦しているハードパンチャーでブンブン振り回してくる。特に左フックが要注意である。一発もらえば試合が終わるが、反面、粗さがある。天才肌の田中が、いかに勇気をもってスピード&テクニックで対抗できるか。スリリングな試合になることは間違いない。

 続いて有明のトリプル世界戦の1番手のリングに上がる拳四朗。拳四朗はリングネームだが、本名は寺地拳四朗。父でジムの会長が元東洋太平洋ライトヘビー級王者、元日本ミドル級王者の寺地永。親子鷹である。

「緊張とかはない。いつもどおり。気合を入れて絶対に勝ちます。僕のボクシングで圧勝したい。北斗の拳のイメージがあると思うので、その世代の方には覚えやすい名前だと思うし、たくさんの方に名前を知ってもらうとうれしいです。父には世界のベルトをとって恩返しをしたい。いや親孝行ですね」

 劇画の世界から飛び出た名前とは違い、いつも笑顔で飄々としている。父に目元だけが似た可愛い風貌。それでもリングに上がると豹変する。

 35歳の王者、ロペスは、昨年3月にサラリーマンボクサー、木村悠から辛くも判定でベルトを奪ったサウスポー。怖さはないが、老獪な上手さがある。守りに回られたら厄介である。寺地会長は、「スピードで圧倒できると思う。試合前日でも落ち着いているしね。勝てるでしょう」と、ポジティブな見方をしている。
 サウスポー対策を徹底してきた。拳四朗も左ジャブを軸としたヒット&アウエーのスタイルが基本としてあり、ここ数試合はカウンターをとれる力強さも出てきている。

 ロペスは、「日本は慣れた場所だしベルトを持って帰る」と言うが、まだ成長過程の拳四朗が、若さとスピードで王者を撃破する公算は高い。この瞬間、日本人による4団体制覇となるが、21日に八重樫がベルトを統一してこそ4団体タイトルの日本人独占という偉業の仕上げとなる。