今年5月下旬、懸念されていた特定外来生物で強毒を持つ「ヒアリ」の上陸が確認された(提供:環境省)

 これはある種の“予言の書”である ── 1993年、広島県廿日市市でアルゼンチン原産のアルゼンチンアリが発見された。本書の著者で国立環境研究所の五箇公一氏は、「もっと危険な外来アリが早晩この国に侵入してくる可能性がある」と警鐘を鳴らしてきた。

五箇公一著『終わりなき侵略者との戦い』

 今年5月下旬、懸念されていた特定外来生物で強毒を持つ「ヒアリ」の上陸が兵庫県尼崎市で確認。そして、大阪南港や名古屋港に続き、東京の大井埠頭でも相次いで見つかった。。

 毒グモであるセアカゴケグモが日本に侵入してきたと大きく報道されたのが1995年であったし、小笠原諸島の生態系を崩壊させるグリーンアノールというトカゲが島内に持ち込まれたのは1960年代であった。すでに、定着してしまったミドリガメやアライグマも外来生物であり、私たちは常に、外来生物侵入の危機にさらされていると言える。

 原因は、グローバル化した人類の往来だけではない。気候変動も外来生物の定着と無関係ではない。本書では、なぜ外来生物が日本にたどり着いたのか、どんな不利益があるのかについて、マングースやピラニア、巨大カタツムリ、殺人ミツバチについても論じている。

 原産地以上に繁殖し、拡大するだけでなく、人間社会に危害を加える「侵略的外来生物」。「外来種が増えにくい環境を作ることが先決」だと著者は主張しており、私たち一人ひとりの生活とは決して無縁ではない。写真や図表がふんだんに使われており、外来生物について考える入門の書としても適切だろう。

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