[写真]小惑星イトカワ(画像提供:JAXA)。日本の小惑星探査機「はやぶさ」によってその姿が明らかとなった

 衝突の可能性があると分かったら、今度は衝突した場合の被害を見積もります。その時に必要な情報は、どんなタイプの小惑星かを調べること。そのタイプの違いが被害の大きさに影響します。

 小惑星には、まるで鉄の塊のような硬くて密度の高いものから、岩の瓦礫(がれき)が集まってできただけのもろいもの(小惑星イトカワなど)など、様々な種類があります。同じ大きさの小惑星同士で比べると、密度の高い方が衝突するときのエネルギーが大きく、被害が大きくなります。他にも、衝突する小惑星が単体ではなく、「地球と月」のようなペアということもあり得る話です。その場合は衝突地点が2か所となり複雑です。後述の対策方法をしっかりと考えるためにも、特徴の見極めは重要といえます。

現在議論されているいくつかの衝突回避方法

[イメージ図]探査機「ディープ・インパクト」(画像提供:NASA)

 小惑星を見つけて調べる取り組みは、現在進行形で精力的に行われています。それに対して、衝突回避の方法に関しては、将来に備えて活発に議論されているところです。現在議論されている方法は複数ありますが、代表的な方法を取り上げます。

 まずは、宇宙船を小惑星にぶつけて、軌道を変える方法です。この方法では、小惑星の軌道をほんの少ししか変えることができません。しかし例えば大きさ100メートル程度の小惑星なら、その少しの軌道のズレが数十年後には大きくなります。この方法は、数十年後に衝突する可能性があると分かっていれば有効です。NASA(米航空宇宙局)が探査機「ディープ・インパクト」で、すでに彗星に探査機の一部をぶつけるミッションに成功していることや、日本の小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワに到着してサンプルを持ち帰っていることを考えると、技術的には実現可能な方法と言えます。2022年にはNASAが「DART」という宇宙探査機を打ち上げ、ディディモスBという小惑星に衝突させ、ディディモスBとその周りを回るディディモスAの軌道変化を調べるミッションを計画しています。

 他にも、重い宇宙船を小惑星と並べ、両者の間に働く万有引力で小惑星の軌道を少しずつ変える方法があります。ただ、よほど大きくて重い宇宙船にしない限り、衝突回避ができるほど軌道を変えるのには、長い時間がかかってしまいます。

 宇宙船を小惑星に衝突させるにしても並べるにしても、小惑星が大きい場合には、それに見合った大きな宇宙船が必要となります。その打ち上げを考えると、技術だけでなく、資金面も課題となりそうです。

 そして最後の選択肢として、核爆発で小惑星を破壊する方法も考えられています。上2つの方法と異なり、小惑星が比較的直近で衝突しそうな場合や、上の2つの方法で対応できなさそうな大きな小惑星に対しても効果があります。しかし、SFの世界と違って、考慮しなければいけない重大な問題があります。まず、破壊された小惑星の破片が地球に降り注ぐ危険性があります。それに加え、核兵器の存在そのものの是非や放射性物質への恐怖心などを考えると、国際的に大きな議論となりそうです。核兵器の使用は、慎重な対応が求められるところです。

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