元WBO世界バンタム級王者の亀田和毅(25、協栄)が10日、後楽園ホールで元世界ランカーのイバン・モラレス(25、メキシコ)と56キロ契約の10回戦で対戦し3-0の判定勝利。ジャッジ2人が「100-90」のフルマーク、一人が「99-91」という準パーフェクトの圧勝で国内復帰第2戦を飾った。

 モラレスは長兄がパッキャオらと名勝負を演じた元4階級制覇のエリック・モラレスで、次男は元WBO世界Sフライ級王者のディエゴ・モラレス。和毅は、亀田3兄弟対モラレス3兄弟の“三男坊対決”にも勝利した。世界でもトップクラスの左右のボディー技術を披露したが、試合を決めるフィニッシュブローに欠き、モラレスが「ノーパワー、オンリースピード」と、試合後に語ったようにバンタムからスーパーバンタムに1階級上げたことで起きる“階級の壁”という課題を残した。和毅の戦績は、36戦34勝(20KO)2敗。

  

亀田和毅はモラレス三男に判定圧勝したが、KOには持ち込めなかった(写真・山口裕朗)

 入場は観客席からの亀田トレイン。

「忍者のイメージで。海外にも映像流れるからね」と、和毅は、プロレスラー、グレート・ムタのオーバーマスクのような真っ黒のマスクを被り、黒装束に身を包んでリングに登場した。

 イバン・モラレスは、7年ぶりに対戦するサウスポー。しかも、昨年5月にIBF世界バンタム級王者のリー・ハスキンス(英国)への世界挑戦経験もある。判定で敗れているがキャリアでわずか2敗。和毅は慎重に左ジャブと遠い距離からのワンツーを軸にスタートを切った。2ラウンドには、イバンの左ストレートを外すと、内にもぐりこんで右のボディーブローを一閃。4ラウンドにはロープを背負わせて、左のボディアッパー。ラスべガスのリングで、プンルアン・ソー・シンユー(タイ)を一発で沈めた、それだ。
 イバンは腰を折り曲げ、ヨロヨロと下がる。効いていた。和毅は、右手をグルグル回すパフォーマンス。右のストレートを何発か狙い打って、KOタイムは、もう時間の問題かのように見えた。

 だが、5ラウンド、6ラウンドと仕留めきれないまま時間が過ぎていく。特にラウンドの序盤の時間帯で手が出ない。イバンは上手さはあったがスピードがなく、パンチ力にもそれほどの脅威がなかったにも関わらずだ。「最後まで集中しろ!」。観客席から飛んだ父の亀田史郎氏の叱咤に呼応するかのように7ラウンドは頭と頭をつける接近戦を仕掛けた。アッパーからショートブローを浴びせかけたが、フィニッシュにもっていけない。過去にKO敗戦のないモラレス3兄弟のプライドもあったのだろうが、パンチに体重が乗っていなかった。9ラウンドには、至近距離からカウントできないほどの数の集中打。会場からは「和毅コール」が生まれたが、「倒して勝つ」の公約を実果たせないまま試合終了のゴングを聞いた。

 ジャッジは2人がフルマーク。一人が1ポイントだけイバンへ。準完全勝利だった。

「倒したかったけれど、前回よりはいい試合内容。ちょっとは進歩したかな。イバンは距離感にディフェンスがうまかった。スパーではもっと良かったんだけど、試合になると力もはいる。そこが課題。いい勉強になりました」。試合後、和毅は、まじめにそう語った。

 左のボディアッパーだけでなく右のボディも多彩だった。真正面から突き刺すようにカウンターを取るボディも、ストレートのように遠くから打つボディも、サイドを打ち殴るようなボディもあった。まさに世界でもトップ級のテクニックである。

 試合後、右目の下を腫らしていたモラレスも、「和毅は私よりもスピードがあった。勝つために来たし勝てると思ったが、事前に見ていた映像よりもスピードがあってやりにくい相手だった」と、完敗を認めた。一階級下になる元IBF世界バンタム級王者、リー・ハスキンスとの比較を求められると、「2人はタイプが違うからね。ハスキンスはただ逃げ回っていただけだった。ただ言えることは、和毅はハスキンスに負けずとも劣らぬ世界トップ級の力を持っているということだろう」と、勝者を絶賛したが、「パンチがない」という苦言を付け加えることも忘れていなかった。

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