元イタリア代表のトッティを日本で見ることはできなくなった(写真:ロイター/アフロ)

 イタリアサッカー界のスーパースターで、先月末をもって実に四半世紀も在籍してきたASローマを退団した、FWフランチェスコ・トッティ(40)の獲得に乗り出していたJ2東京ヴェルディの羽生英之社長(53)が16日、交渉が破談になったことを明らかにした。

 羽生社長は同日にナイトゲームで行われた、湘南ベルマーレ戦とのJ2第23節終了後にメディアへ対応。ヴェルディとトッティの代理人を務める実兄の間に入り、交渉を進めていた代理人の良藤辰夫氏から14日午前7時に、獲得断念を報告するメールが届いたことを明かした。

「トッティについては断念せざるを得ない、ということでしょうか。家族の了解を得られなかったというのが、最終的に私のところにメールで届いた、ただひとつの理由でした」

 現役続行への思いを断ち切れなかったとされるトッティは、ローマのフロント入りを要請されながら、退団後の身の振り方を明言していなかった。また、少年時代にイタリアでもテレビアニメが放映された人気漫画
『キャプテン翼』に夢中になったという縁から、日本に深い親近感を抱いていたという。

 そうした情報を懇意にする知人から得た羽生社長は、10年ぶりのJ1昇格を目指すうえでの切り札として正式オファーを出すことを決断。同じく獲得に動いていたMLS(アメリカ)のマイアミとロサンゼルスが断られ、二択に絞られたという良藤氏からのメールが、今月6日の段階で羽入社長のもとへ届いていた。

「ローマに役員として残るか、ヴェルディで現役を続けるかの二択ですね。ただ、ローマのトッティのままで終わってほしいという声が、ものすごくあるみたいで。代理人からは『ローマ市内がすごい騒ぎになっていて、トッティが落ち着いて考えられる状況ではない』と聞いています」

 最終的にはトッティがローマを離れて向かった旅先で、今後に関して熟考するとされていた。果たして、長年の交際を実らせて2005年6月に結婚した女優のイラリー・ブラージさん、同年11月に誕生した長男、翌年に誕生した長女の思いを尊重する形で、トッティは日本行きをあきらめたことになる。

 今回の仲介人となった良藤氏は自身のツイッターで、9日に急きょローマへ向かったと投稿。現地で最終的な交渉に臨みながら、返事を待つ胸中をこうつぶやいている。

「細かい話はたくさんあるけれど、待つしかない。ただ、彼自身はまだまだボールを蹴りたい。彼は彼の名で生きるか、フットボールに生きるか。それは彼自身が決めてくれれば良い。(原文のまま)」

 もっとも、16日の午後には一転して「東京ヴェルディのサポーターの皆様、ごめんなさい。力及ばずでした」と投稿。具体的な内容にこそ言及していないものの、トッティ側との交渉が破談となったことを示唆していた。
 もしも家族が賛同すれば、イタリア代表としてワールドカップでも頂点に立った稀代のレジェンドのプレーを日本で、しかもJ2の舞台で見られたのか――。羽生社長は苦笑いを隠せなかった。
  

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