わたしたちホモ・サピエンスの種が初めて現れたのは、およそ20万年前。その後、いつの間にか、人間の身近な生き物として愛される存在になったイエネコの進化史は、気まぐれな表情が魅力のネコそのものと同じく、多くの謎を秘めているようです。

 前回に続き、古生物学者の池尻武仁博士(米国アラバマ自然史博物館客員研究員・アラバマ大地質科学部講師)が、最新研究をまじえながら検証します。


人は1万年前ネコを手なづけた?イエネコ家畜化起源の謎(上)

分類学上のイエネコ

[イメージ]イエネコの進化は同じペットとして人気のイエイヌがたどった道とは大きく異なる(写真:アフロ)

 前回「吾輩」と称する猫の知恵を借りて、イエネコの起源と初期進化に関する最近の研究をいくつか紹介してみた(こちらの記事 参照)。どうも最古のイエネコは、1万年くらい前に近東において初めて登場した可能性が高い。しかしそもそもイエネコとは何なのだろうか? 哺乳類の分類学上、果たしてどのように現在定義されているのだろうか? まずこの点をはっきりさせてみたい。
ーhttps://thepage.jp/detail/20170706-00000007-wordleaf

 さて吾輩がここでとりあげているネコとは、生物学的に言えば「イエネコ(Felis silvestris catus)」のことだ。ちまたにはたくさんのネコやキャットと呼ばれるものが古今東西多数存在する。伝統的なFelis catusもイエネコとしてよく耳にする。これはイエネコが亜種ではなく「独立した種」という分類上のアイデア(仮説)を意味する。

(筆者注:亜種vs種の議論は研究者の個人的な好みに左右されることも多く、どちらでも特に大きな違いはないと私には映る。両方のアイデアはどちらもイエネコはヨーロッパヤマネコから直接進化したことを示しているからだ。しかしこのネコ属Felisに属する他の多数の種や亜種との相関関係を考えるとき、いくらか違いが生じてくる。この詳細は書き出すとかなり長くなるので、いずれ機をみて改めて紹介してみたい。)

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