そもそもジャズの起源とは?

 そして、これもまた勝手な想像なのだが、ジャズが生まれたとされる19世紀末から20世紀初頭のニューオリンズでは、そうしたことが組織的に起こったのかもしれない。ニューオリンズは、フランス文化と奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人文化が出会いを果たした不思議な世界で、街を練り歩く葬送のマーチング・バンドやあるいは華やかな紅灯街に雇われ演奏していたユニークなバンド演奏がジャズの起源とされ、とにかく不思議な音楽がこの活気に溢れた街で楽しまれていたことは確かである。

 ちなみにこうしたバンドで使われた楽器は、南北戦争の後に放置された軍楽隊の楽器という説がある。筒井康隆の『ジャズ大名』は、その説を足掛かりに幕末に日本にジャズがやってきたというSFであった。もうひとつプチ余談。軍楽隊の発祥は、西洋がイスラム軍と戦った時代までさかのぼり、効率よく軍を統率したイスラム軍の軍楽隊を真似て作られたという。イスラム軍は多民族軍で、言葉の代わりに打楽器による命令指示がされたようだ。そういうことを考えると、ジャズ・バンドの起源はイスラム軍楽隊までさかのぼることができるかもしれない。そして、むろん、ドラムという観点では、アフリカの文化も見逃がすわけにはいかない。ドラムで会話するトーキング・ドラムを筆頭に奴隷で連れてこられた黒人たちのDNAにもそれは引き継がれていただろう。

 さて、突然だが、ここでこの話の発端の今年2017年はジャズが生まれて100周年というところに戻ろう。何故100年なのか。話は簡単で、100年前の1917年に最初のジャズ・レコードが録音されたからである。まぁこれだと、ジャズ・レコード100周年でしかならない。しかし、実はよく考えると、ここには、この当時、何故ジャズがジャズになったかという何とも奥の深い話が隠されている。

 最後にちょっと次回の予告しておく。実は、この栄誉あるジャズ初録音は、ニューオリンズの黒人ミュージシャンではなく、ニック・ラロッカというイタリア人であった。

(音楽評論家・青木和富)

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