ウヘルツン・オボー=シリンゴル盟・シローンフフ・ホショー(2011年8月撮影)

 日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面し、同じモンゴル民族でつくるモンゴル国が独立国家であるのに対し、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれ、近年目覚しい経済発展を遂げています。しかし、その一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土が失われてきているといいます。

 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。

 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。


【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第2回

内モンゴル自治区の地図

 夏に対する一番の期待は雨がたくさん降ってくれることである。

 そのために各地において、5月中旬からオボー祭りが始まり、主に雨乞いが行われる。近年は地球温暖化、環境破壊による砂漠化などの影響で雨が少なくなり、干ばつが続き、遊牧民たちの経済を打撃している。

 モンゴルのオボーというのは一種の標柱のようなもので、小高い山や丘の上に建てられる。シャーマニズムから起源し、その後、仏教がモンゴルに普及することによって、仏教の要素が多くなっている。祭りを執り行うのが、ラマである。モンゴルでは山や川にはそれぞれの神様が宿っていると考えられている。オボーを時計周りに3周し、チーズや馬乳酒などを捧げながら、石を1個納め、雨乞いをしたり、家族の健康や幸福をお願いしたりする。

 夏が干ばつになると結局、家畜が十分な栄養を取れなくなり、厳しい冬を乗り越える栄養を蓄えることができず、冬に弱って死亡したり、流産したりするリスクが高くなる。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・アラタンホヤガさんの「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮るーアラタンホヤガ第2回」の一部を抜粋しました。


アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。