柳で編んだ置き台にチーズを乾燥させている=シリンゴル盟・シローンフフ・ホショー(2011年8月撮影)

 日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面し、同じモンゴル民族でつくるモンゴル国が独立国家であるのに対し、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれ、近年目覚しい経済発展を遂げています。しかし、その一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土が失われてきているといいます。

 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。
 
 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。


【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第2回

内モンゴル自治区の地図

 遊牧民の女性にとって夏は、忙しい季節になる。

 彼女たちは毎日、牛、馬、羊やヤギの乳を搾って、チーズ、クリームなど各種の乳製品を作り、厳しい冬と春に向け、大量の保存食を準備しなければいけない。

 一家族が大体、10~20頭の牛を絞り、それに1~2時間はかかる。牛の場合は、3~6リットルぐらいのミルクが出て、大体、朝晩2回搾る。馬の場合は、1回に出る乳の量が少ない(だいたい200~300ミリリットルと言われている)ので、2時間ごと、1日に5~6回搾っている。

 そのために、日が昇る前から夜遅くまで、休む暇なく、働いている。つまり夏は、家畜と遊牧民がともに厳しい、長い冬と春を乗り越える準備をすべき季節である。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・アラタンホヤガさんの「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮るーアラタンホヤガ第2回」の一部を抜粋しました。


アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。