専門業者に頼んでホニ・オギャホ=シリンゴル盟・ジューグンウジュムチン・ホショー(2016年9月撮影)

 日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面し、同じモンゴル民族でつくるモンゴル国が独立国家であるのに対し、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれ、近年目覚しい経済発展を遂げています。しかし、その一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土が失われてきているといいます。

 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。

 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。


【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第2回

内モンゴル自治区の地図

 乳製品作り以外、夏には羊やヤギのシラミや伝染病などを防ぐために、何回か消毒する必要がある。モンゴル語でホニ・オギャホという。つまり羊を洗うことである。

 最近までは地面に穴を掘り、セメントやレンガで長方形或いは円形の流し場を作って、そこに薬と水を入れ、羊を一頭ずつ投げる。羊は反対側まで泳ぎ自ら出て行く。そうすると薬品がその毛に染み込み殺菌する。

 これが大変な重労働だったが、最近では電話一本で家まできて、やってくれる獣医薬品専門チェーン店が出現した。彼らは家畜の数に合わせて、薬を調整し、高圧放水車を使って、羊の群れにシャワーする。そして、彼らのスタッフはほぼモンゴル人であり、中国語が得意ではない遊牧民にも信頼され、家畜の病気についてもいろいろな相談ができる。

 経済発展によって遊牧民たちも快適さと効率を求めるようになってきた。それによって、古い文化や生活様式も変えられているのは、時代の流れというしかない。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・アラタンホヤガさんの「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮るーアラタンホヤガ第2回」の一部を抜粋しました。


アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。

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