スペインのバルセロナで自動車の乗り入れを禁止したところ、不動産価格が大幅に上昇したことが話題となっています。EV(電気自動車)の急速な普及と、自動運転システムの発達で、社会におけるクルマの位置付けは大きく変わってきました。従来型の自動車の存在を前提にした街作りは、近い将来、過去のものとなってしまうのかもしれません。

 バルセロナでは、古くなった工業地区を再開発するにあたり、0.16平方キロメートル(東京ドームの3.4倍)のエリアを自動車乗り入れ禁止としました。すると著名企業がオフィスをたくさん構えるようになり、地価や家賃が大きく上昇したそうです。

 米紙の報道によると、この地区の平均的なオフィスの賃料は1坪あたり約78ドルで他の地域の家賃水準を上回っているそうです。バルセロナのオフィス賃料はスペインの経済危機によって、大幅にダウンしたことからロンドンなどと比較するとかなり割安となっています。そのような中、時代に合わせた都市設計を行うことで比較的高い家賃を確保できるようになったというわけです。

 このエリアには、米IT企業のシスコシステムズが3000万ドルを投じてイノベーションセンターを建設したり、米アマゾンの欧州拠点もオフィスを構えました。現在では180軒以上のレストランや50軒のバーがオープンし、活況を呈しています。

 これまで多くの都市は、自動車の存在を大前提として設計されていました。本来、美しい光景だったはずの日本橋を上から覆う格好で首都高速道路が建設されている東京もその例外ではありません。しかしテクノロジーの普及によって社会の自動車に対する認識は大きく変化しています。

 フランスや英国では、ガソリン車の販売を段階的に禁止する措置を打ち出していますし、自動車メーカー各社はEVの開発に力を入れています。また欧米では、完全自動運転システムを搭載したクルマが数年以内に公道を走り始めるでしょう。つまり従来型自動車の衰退とITの普及はセットになっているわけです。

 自動車の乗り入れを禁止し、IT企業を積極的に誘致するという、バルセロナ再開発地区のあり方は、こうした新しい時代を先取りしたものなのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします