撮影:高橋邦典

 長いカメラマン生活の中でも、日本の学校など撮影する機会などほとんどなかったが、シカゴに住んでいた頃、仕事のため日本人学校で過ごしたことがあった。ちょうど年末の休みの前で、正月用の書き初めの練習をしているクラスがあった。

 僕ら日本人にとってはおなじみの光景ではあるが、ふと疑問に思った。書道というのは日本の学校以外でも教えているのだろうか?  中国ではありそうにも思えたが、調べてみると学校ではほとんど教えてはいないようだ。アラビア語の書道もよく知られているが、それも中東の学校で見たためしがない。 実は学校で必修の書道というのは日本だけのことなのかもしれない。

 しかし日本も、必要のないものは切り捨てるといった最近の風潮のもと、美術や音楽などの授業時間が減っていると聞く。きっと書道もその煽りを食っているのだろう。

 算数や英語が大切なのは言うまでもない。しかし、合理的、実用的と思われるものだけを追い求めて、心を満たす暮らしができるのか? 将来を担う子供たちの想像力や感性といった、心を育てることなく、豊かな社会がつくれるとはとても思えない。

 2007年12月撮影

(写真・文:高橋邦典)

※この記事はフォトジャーナル<世界の学校事情>- 高橋邦典 第48回」の一部を抜粋したものです。

フォトジャーナル<世界の学校事情>- 高橋邦典 第48回