外国メーカーと政府系企業の合弁よる自動車生産が主流だった中国の自動車市場に異変が起きています。政府からの支援を受けていない純粋な「民族系」メーカーが大躍進しているからです。完全民営の国産メーカーのシェアが拡大すると、トヨタや日産のような「外資系」メーカーは苦戦を強いられる可能性があります。

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 中国の自動車産業は完全に国策となっており、中央政府が管理する国営自動車メーカーが、トヨタや米ゼネラル・モーターズ(GM)といった外国メーカーと合弁事業を設立するという形で発達してきました。中国のルールでは、外国メーカーが自動車を生産する場合、国内メーカーと合弁企業を設立することが義務付けられており、外国からの出資比率は50%以下にしなければなりません(この上限規制は2025年をめどに見直される予定)。

 主要メーカーは相次いで中国の政府系自動車メーカーと合弁を組むことで中国市場に進出しました。ゼネラル・モーターズは上海汽車集団や第一汽車集団と合弁会社を作っていますし、トヨタは第一汽車と、日産は東風汽車と合弁企業を設立しています。

長城汽車が発売したHaval H2s SUV。2016年の広州モーターショーで(写真:ロイター・アフロ)

 中国が合弁企業の設立を義務づけているのは外国メーカーから技術を習得し、国産自動車の技術力を高めるためです。

 最初のうちは中国側の思うようにはいかず、生産技術は簡単に移転しませんでした。しかし、ここ2~3年の間に中国メーカーの技術力は飛躍的に高まっており、外資系自動車メーカーにひけを取らない生産技術を身につけるようになってきました。

 特に最近市場で注目を集めているのが、これまで中国政府からの支援を受けることができなかった、純粋な「民族系」メーカーの台頭です。長城汽車、吉利汽車、BYDといった完全民営の民族系メーカーは、安い価格と利用者のニーズを捉えた製品ラインナップで急激に販売台数を伸ばしています。

中国BYDが披露したEV(ロイター・アフロ)

 豊富な資金があり、外資系と合弁を組む国営自動車メーカーが技術力を高めることができるのは当然かもしれませんが、驚くべきなのは、こうした独立系の企業も高度な技術を蓄積し始めているという現実です。これは中国国内の平均的な産業レベルがかなり上がってきたことを示唆しています。

 2016年における中国の自動車販売台数は約2800万台と、米国の1.6倍、日本の5.6倍もの規模があります。低価格な国内メーカーが躍進するということになると、トヨタや日産といった外国メーカーは苦戦を強いられるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)