撮影:高橋邦典

 日が沈み、空が群青色に染まる頃、ガンジスの川べりで、男たちの持つ松明に火がつけられた。「プージャ」の始まりだ。円を描いて回される火とともに、祈りが捧げられる。

 毎日、日の出と日没の2度おこなわれるプージャはいわば願掛けの儀式。残っている最も古い記録は紀元前500年と、その歴史は古い。元々は先祖の供養に招かれた僧侶を報いるためにおこなわれたのが始まりだという。

フォトジャーナル<世界最大の宗教祭典クンブメラ>- 高橋邦典 第49回

撮影:高橋邦典

 このプージャ、実は僕らにも馴染みが深い。朝起きて仏壇を拝むことや、寺を訪れての初詣、さらには法事など、仏教や神道で日常に行われるものと同じなのだ。ヒンドゥー教徒たちも、朝起きて家にある祭壇に向かって祈り、寺に詣でたり、そしてガンジス川で祈ったりする。

 プージャの時間に川べりに集まった人々は、入れ替わり立ち替わり小さな火を灯したバンヤンの葉を川に浮かべガンジスに放つ。そして闇のなかゆらゆらと流れ、小さくなっていく灯火に向かって両手を合わせるのだ。

 2010年1月撮影

(写真・文:高橋邦典)

※この記事はフォトジャーナル<世界最大の宗教祭典クンブメラ>- 高橋邦典 第49回」の一部を抜粋したものです。