藤浪の復帰登板は7四死球の大荒れだったが2軍Uターンは回避

不振で2軍落ちしていた阪神の藤浪晋太郎(23)が16日、京セラドームで行われた広島戦に82日ぶりに1軍復帰登板をしたが、5回二死満塁で投手大瀬良の打席で降板、7四死球7安打3失点で4敗目を喫した。最速159キロをマークして4奪三振を奪ったが、“抜け球”による制球難は相変わらずで大瀬良、菊池への死球で両軍がホームベース付近に集まり騒然となるシーンもあった。

 2軍落ち前の藤浪と何も変わらぬジキルとハイド症候群。だが、それが藤浪の持ち味でもあり、ゲームを壊さなかった部分を金本監督は評価。藤浪は、なんとか2軍Uターンを回避。ローテに残り、次回も先発機会が与えられる方向だ。

 その表情は強張っていた。それはそうだろう。5月26日の横浜DeNA戦以来となる82日ぶりの1軍マウンド。メッセンジャーが骨折の再検査のため一時帰国し、岩貞が2軍で故障、ローテを守っていた秋山も右太ももの違和感で2軍調整中で、しかも、ルーキーの小野がいまだに勝てない。崩壊したローテの救世主としての期待を背負い、加えて、金本監督の「野球人生を左右するといえばオーバーかもしれないが、僕はそれくらいの気持ちで見たい」というコメントがスポーツ紙を彩った。否応ナシに藤浪の目や耳にも触れる。
 大きなプレッシャーにがんじがらめになり復帰マウンドを踏む藤浪に広島打線は容赦なかった。

 いきなり立ち上がりに先頭の田中がセーフティーバントを仕掛けてきた。大きなバウンドを処理した藤浪は、サイドスローで一塁へ投げたが間に合わない。続く菊池へのストレートは159キロと表示された。だが、外を狙ったストレートが真ん中高めに浮きセンター前を許す。一死から鈴木を四球で歩かせ、満塁となり松山には、レフトへ痛打された。大山が打球に追いつきグラブにかすりながらも取れずにフェンス直撃のタイムリーとなり先制点を失う。なおも満塁のピンチが続いたが、スライダーで西川を三振。阿部をインハイのストレートで見逃し三振。藤浪の凄みも健在だった。

 ジキルとハイド症候群とでも呼ぶべきか。

 ジキルな藤浪は、2回一死から投手の大瀬良に対して、すっぽ抜けた投球が、その左肩に当たった。痛さでしゃがみこんだ大瀬良は、笑顔で“大丈夫だ”という合図を藤浪に送った。だが、この死球が伏線になり4回に京セラドームが騒然となる。

 一死から菊池を迎えた藤浪は、まず、その初球にテイクバックの際にボールを落としてしまった。珍しいシーン。力の入れ具合を調整できていない証拠だった。そして2球目のカットボールが抜けて菊池の左上腕部を直撃した。菊池は左腕を抱えて、その場に座り込んだ。藤浪は帽子を脱いで謝罪したが、広島ベンチからは、緒方監督、コーチ陣だけでなく、エルドレッドらも血相を変えてベンチを歩きながら出てきた。阪神ベンチからも、高代ヘッド、平田コーチらが出てホームベース上で両軍が睨み合い一触即発の空気が流れた。

 福留はライトのポジションからわざわざマウンドにまでやってきて藤浪に声をかけてお尻をたたいた。藤浪は動揺を隠せない。続く丸に左中間へ打たれた。しかし、中谷ー北條と最高の中継プレーを見せてホームで刺す。バックが苦しむ藤浪を盛り立てた。

 藤浪は、ジキルとハイドの間をさ迷い続けた。5回、また先頭の鈴木を3打席連続で歩かせると、二死一、三塁となってから、8番の石原に対して、フルカウントからスライダーが大きく抜けて四球。満塁となり投手の大瀬良を迎えたところで交代を告げられた。藤浪は、マウンド上で、ずっと下を向いたままだった。代わった岩崎が三振に打ち取ったが、藤浪にしてみれば屈辱の交代劇である。

 降板後も藤浪はベンチの一番前で声を出し続けていた。6回に鳥谷、北條の連続二塁打で1点差に追い上げたが、3番手の桑原が新井にタイムリーを打たれるなど3-5で敗れ3連敗。広島のマジックは「26」に減った。

 藤浪にとってホロ苦い復帰第一戦の107球となった。
  

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします