ソフトバンクの孫正義社長が、同社傘下の米携帯電話会社スプリントを軸に大規模な事業統合を検討していることを明らかにしました。もし実現すると、ソフトバンクは世界規模の通信会社に躍り出ることになります。

写真:つのだよしお/アフロ

 7日に行われた同社の決算発表で孫氏は、傘下のスプリントについて「複数の選択肢で事業統合を検討している」ことを明らかにするとともに、近い将来、「何らかの意思決定ができるのではないかと思っている」と述べ、事業統合の交渉が大詰めに入っていることを事実上、認めました。

 ソフトバンクは2013年、当時、全米3位の通信会社であったスプリントを216億ドル(当時のレートで1兆8000億円)で買収しました。米国の通信市場は、ベライゾンとAT&Tの2社でシェアの6割以上を占める構図となっており、それぞれ1億人強の利用者(すべての契約を含む)を抱えています。一方、スプリントの契約者数は当時5500万人と、上位2社と比較してかなり見劣りするといってよく、しかもスプリントは赤字を垂れ流している状態でした。

 実は、ソフトバンクは、スプリントを買収したのち、続けて当時、全米4位の通信会社であるTモバイルUS(現在は3位)を買収する計画を立てていました。スプリントとTモバイルUSを合わせれば、上位2社と互角に争うことが可能となります。つまり、スプリントの買収は単体ではなく、TモバイルUSとのセットで初めて意味を持つ取引だったわけです。

 ところが、この買収計画に対する米当局の反応はネガティブで、孫氏は一時、買収を断念したとも噂されていましたが、こうした状況を大きく変えたのがトランプ大統領の誕生です。政権交代によって米当局の人事が一新されたことで、ソフトバンクによるTモバイルUS買収に再び道が開けてきたのです。

 同時にソフトバンクは、米国のCATVとの提携についても模索しています。孫氏が近く公表するとしている事業統合は、TモバイルUSかCATVとの提携であるとみられています。

 スプリントはこれまで赤字の状態が続いてきましたが、2017年4~6月期の決算は純利益2億600万ドルと本格的な黒字に転換しました。これまでスプリントはソフトバンクの足を引っ張るお荷物でしたが、いよいよ同社の収益に貢献する段階に入ってきたわけです。

 もしスプリントとTモバイルUSが事業統合し、スプリントの業績についても完全復活を果たした場合、ソフトバンクには毎年数千億円の部門利益が転がり込んできます。同社は2017年3月期の決算で純利益1兆円超えを達成しましたが、一連の事業統合が成功すれば、ここからさらに利益水準が伸びる可能性が出てくるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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