マンガ 自営業の老後

 われわれ自営業が老後にもらえる年金は、国民年金に加えて厚生年金に加入している会社員などに比べ、受給額が少ない。収入はしばしば不安定、退職金を用意してくれる会社があるわけでもない。この先、いつまで働けるのかもわからない。老後の生活にお金がいくら必要なのか。少しずつ考え、手を打ってはいるがまだ不完全であり、ときに底知れぬ不安感に襲われる。

 地下鉄で『マンガ 自営業の老後』(文響社)という本の広告を見かけた。漠然とした将来の不安をもしや解決してくれるのではないか、しかもマンガだ。これはいいや、と思わず飛びついた。

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お金にズボラなイラストレーターが「老後の不安」解消をナビゲート

 著者の上田惣子(そうこ)さんは、20代半ばからフリーのイラストレーターとしてのキャリアをスタートした。多いときには月に25本の締め切りを抱えるなど、来る仕事は拒まずに長年バリバリ働いてきたが、40代半ば以降、徐々に仕事が減っていく。いつしか、年収は従来の1/3以下にまで減少、預金通帳もからっぽ。おまけに乳がんを患ってしまう。上田さんは「仕事のないフリーランスは無職と同じ!! 自分の未来がまったく見えない。こんな状態で老人になったらどうなるの?」と不安感にとらわれてしまう。

 出版社から提案された同書の企画で、上田さんはさまざまな自営業者やマネーの専門家に会い、アドバイスを受けながら老後の不安に向き合い、解決策を実践していく。

 老後の備えに余念がないフリーのデザイナーは、老後の資金づくりに、個人向け確定拠出年金(iDeCo)や小規模企業共済を紹介。これらは所得控除が受けられ、税負担が軽くなるというメリットなどがある。

 年金の専門家は、「死ぬまでもらえる保険は公的年金しかない」と力説。今まで手続きが面倒で国民年金未納者だった上田さんは、今すぐ管轄の区役所か年金事務所に行くように促され、すぐさま手続きに走った。

 そのほか、住宅購入をはじめ、保険の見直し、会計知識、金融リテラシーなど、自営業が一通り知っておきたい内容が幅広く取り上げられている。

 お金の話だけではない。公認会計士からは、公私の銀行口座を分けるといった会計上の助言に加え、「1日で30万円を稼ぎ、10日に一度しか働かない生活」を実現するための方法論も学ぶ。話を聞いた後、「ボンヤリ生きているうちに52歳になってしまいました」と嘆く上田さんに、公認会計士が「人生のピークは60歳だと思っています」「体は老いていきますが人生は終わりではありませんよ」と励ます場面には勇気づけられた。

 215ページだが、マンガと挿絵がたっぷりで、1時間半ほどで読めてしまった。振り込みや手続きが苦手という「ズボラ」な上田さんがひとつひとつ問題を解決していく過程は「私にもできるかも!、やってみよう」と思わせてくれる。iDeCoや国民年金基金など、マンガに登場した専門用語を解説するコラムもわかりやすく書かれている。

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