エネルギーといった時、真っ先に浮かぶイメージは何だろうか。生活に身近な電気を挙げる人は多いだろう。火を思い浮かべる人もいるかもしれない。水や風、太陽といった自然のエネルギーもある。

 今回は、人類史におけるエネルギーの発見と発明がテーマである。とりわけ、第2次世界大戦以前、明治時代までの導入期を中心に見ていく。戦後から現代に至る比較的短期間に、エネルギーの構造が複雑に多様化した流れは、連載の後段で述べることとしたい。

【連載】エネルギー小国日本の選択

 戦前、既に現在の発電技術の基礎は築かれていた。すなわち、石炭などを燃料にした火力発電や、水の流れを利用した水力発電の技術だ。

 まずはその火に関し、発見と使用の歴史を振り返る。火の使用は、石器などの道具と同様、人類が飛躍的発展を遂げる端緒となった一大事だ。少なくとも有史以前の旧石器時代、50万年前には今の中国で北京原人が火を使っていたとされる。150万年以上前から使われていたなど諸説あるが、いずれにしても2017年の現代から遡ること遥か昔の話である。

火を崇め、火を操るようになった人類

地表の火が燃え続ける「ヤナルダグ」(写真:アフロ)

 火を起こす技術が未発達だった初期は、雷による山火事や噴火で得られた火種を、後生大事に受け継いで保存するやり方があった。松ヤニなどを用いた松明(たいまつ)に火を移し、焚き火などで絶えぬようにした。

 火を操れるようになったことは、人類が暗闇や寒さから逃れることに大いに役立った。調理にも活用された。灯籠、ロウソク、竈(かまど)、囲炉裏、暖炉、サウナと使用法は枚挙にいとまがない。火の使用は人類が原始にして獲得した、他の動物と最も異なる才能の一つであり、最も恵み深い発明とも言えよう。

 古来、火は人々の信仰を集め、祭祀にも欠かせないものとなっている。火を崇め、神格化する宗教や文化は世界中にあり、「火炎崇拝」とも呼ばれる。有名なものに拝火教で知られるゾロアスター教がある。その宗教施設があるアゼルバイジャンには「燃える丘」や「燃える山」と呼ばれる「ヤナルダグ」というスポットがある。地表に天然ガスが絶えず噴き出しているため、火が燃え続けるのだという。