夏の甲子園でヒーローとなった広陵の中村は高卒捕手は活躍できない、のジンクスを打ち破れるか

広陵の中村奨成は全国制覇を果たすことができなかった。決勝戦では、4打数3安打。さすがの結果を残したが、今大会初めて2つの三振を喫して、期待された7号は生まれなかった。それでもプロ注目の150キロ右腕の清水達也が「自信がある」と投じたストレートをレフト線に弾き返して「凄い」と言わせた。

 残した記録は、清原和博氏が1985年にPLが学園に作った最多本塁打の更新だけでなく、打点、塁打で新記録を作り、この日の3安打で1986年に松山商の水口栄二が作った大会最多安打「19」に31年ぶりに並んだ。 それでも完敗後に「優勝して記憶にも記録にも残りたかった。満足していない」と語り、「この悔しさを糧に、プロの舞台に立って、悔しさを晴らしたい」と、涙ながらにプロ志望を宣言した。

 地元の広島や日ハムを筆頭に堂々の複数球団のドラフト1位候補で「1年目から即使える」と評価するスカウトもいる。だが、ここ数年のプロ野球には、重たいデータが立ちふさがっている。

 2000年以降、高卒のキャッチャーのドラフト1位の成功例が一人しかいないのだ。この間、高卒のドラフト1位は7人。2001年に中京大中京の前田章宏が中日、2003年に中村と同じく広陵の白浜裕太が広島、2005年は高校生ドラフトで別れていたこともあって、平安の炭谷銀仁朗が西武、日大高の荒川雄太がソフトバンクへ、 2010年は習志野の山下斐紹がソフトバンク、2013年は大阪桐蔭の森友哉が西武へ入団したが、その後、1軍でレギュラーを獲得したのは、炭谷一人だけ。森は試合には出ているが、コンバートされるなど捕手のポジションではまだ定着していない。

 名捕手だった野村克也氏は、「強いチームに名捕手あり」と言うが、2000年以降で優勝チームを引っ張ってマスクをかぶった捕手の顔ぶれをざっと見ても、巨人の阿部慎之助(中央大)、ヤクルトの古田敦也(トヨタ自動車)、阪神の矢野燿大(東北福祉大)、ダイエー、阪神の城島健司(別府大付高)、西武、ソフトバンクの細川亨(青森大)、中日の谷繁元信(江の川高)、ロッテの里崎智也(帝京大)、楽天の嶋基宏(国学院大)、広島の石原慶幸(東北福祉大)らと、高卒キャッチャーは谷繁と城島の2人だけだ。

 現在の12球団のレギュラー捕手を見渡しても、高卒入団組は、ロッテの田村龍弘(光星学院)、ヤクルトの中村悠平(福井商)、オリックスの若月健矢(花咲徳栄)、キャノン砲と呼ばれる強肩で売り出し中の甲斐拓也(楊志館から育成ドラフト入団)くらいで、まだ確固たる地位を確立してはいない。