8・16決戦でネリにTKO負けして一度は涙した山中だが、無効試合となれば、連続試合記録が継続する可能性も(写真・山口裕朗)

前WBC世界バンタム級王者、山中慎介(34、帝拳)の連続防衛記録を「12」でストップさせ、4回TKOでタイトルを奪った新王者のルイス・ネリ(22、メキシコ)が、試合前の7月27日に行われたドーピング検査で陽性反応を示したことをWBCが発表、大きな波紋を呼んでいる。

 JBC(日本ボクシングコミッション)の関係者は24日、「まだWBCが最終結論を出していないため、現段階では、今後の動きと経過説明しかできません。今後の他検体の検査結果と、ネリ本人の聴聞などでWBCが、処分を下す可能性もありますし、逆に処分無しの可能性もあるでしょう。慎重に対処したいですが、もし先日の試合が無効試合とされ、王座が山中選手に戻ってきた場合、負けた試合は無効なわけですから世界王座連続防衛の日本記録は継続されることになります」との見解を示した。

 今後、調査を続けるWBCが、ネリのドーピング違反を“クロ”と認定、山中が敗れた試合を無効試合として、ネリのタイトルを剥奪した場合、山中が再び王者となり、連続防衛記録は継続。元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏が持つ13度の連続防衛記録に再びチャレンジする資格が復活するのだ。

 米メディアの一部は、ネリが“クロ”だった場合、山中にタイトルが戻ってくると報じているが、タイトルが空位となり王座決定戦となる可能性もあり、その場合は山中の連続防衛記録は途絶えることになる。

 WBCは昨年から「クリーンボクシングプログラム」を進めており、定期的に民間の調査機関であるVADA(ボランティア・アンチドーピング委員会)を使い、抜き打ちドーピング検査を行っている。今回ネリは、7月下旬にメキシコ内で行われたドーピング検査によって陽性反応が出た。WADA(世界アンチドーピング委員会)が定める禁止薬物のひとつである「ジルパテロール」が検出された。牛など家畜の体重を増加させるため肥料に加える添加物に含まれている成分だという。

 JBCの説明によると、今後WBCは7月下旬に同時に採取した「B検体」を検査、また15日の山中とのタイトル戦後に採取した検体の検査結果を待ち、ネリ本人からも聴聞を行い、故意か過失か、悪意があったのかを判断、最終的な裁定を下す方向。

 WBCは23日の昼ごろにJBCに文書で報告してきたが、「グレーの状態」にもかかわらずドーピング検査での陽性結果を発表した裏には、事を重大に捉えている可能性があるという。
  

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