阪神のドラフト2位小野が13試合目の先発にしてやっとプロ初勝利!(資料写真・黒田文夫)

好投を続けながらも勝ち星に恵まれなかった阪神のドラフト2位、小野泰己(23、富士大)が29日、甲子園球場で行われたヤクルト戦で13試合目の先発にして“やっと”待望のプロ初勝利をつかんだ。6回で87球を投げて2安打4奪三振無失点の内容で、5四球と荒れたが要所を締め、ストレートは自己最速の151キロをマークした。プロの世界では白星が自信につながると言われるだけに、“9月に弱い阪神”の汚名を返上したいチームにとっても意味のある小野の初白星となった。

 プロ初登板から3か月が過ぎた。課題は制球力だった。小野は一死から山崎に自己最速タイとなる151キロを投げながらも四球。いきなり29本塁打のバレンティンを迎える。だが、カウント3-2から149キロのシュート回転したストレートをインローに決めた。バレンティンは手が出ない。スタートを切っていた山崎を坂本が刺して三振ゲッツー。立ち上がりのピンチを脱した。

 二回にもまた先頭を歩かせて、リベロのバットを折りながらもライト前に落とされ、パスボールもあって無死一、三塁のピンチを背負う。だが、藤井を一塁ゴロ。一死二、三塁とピンチは続いたが、中村にはインサイドを攻めて見逃しの三振に打ち取るなど踏ん張った。

 キャンプ中に金本監督が「ドラフト1位級の素材だ。楽天の岸に似ている」と絶賛。あの中日のレジェンド、山本昌氏も「キャンプ視察した中で一番のボールを投げていのは小野」と、高く評価していた。
 プロとしての細かい制球力やフォークを軸にした変化球の精度はまだ不安だったが、5月21日のヤクルト戦に金本監督は、先発抜擢した。その後、ローテーションを守り、6月18日の楽天戦では7回を5安打1失点、6月28日の中日戦でも6回を2安打1失点に抑えたが、たまたま援護に恵まれず勝ち星を拾うことができず、ここまで12試合も白星から見放されていた。文句なしの一級品のストレートがあるためローテーションから外されることはなかったが、あまりに勝てないため、首脳陣はこの試合に勝てなければ一度2軍に落とす考えを検討していた。小野にとっては、まさに崖っぷちの13試合目の先発チャンスだったのだ。

 打線も小野の初勝利のために結束した。
 2回に三塁のエラーで出塁した中谷を二塁に置き、鳥谷がしぶとくセンターへタイムリーを転がした。「打ったのはシュート。積極的に打ちにいった結果。抜けてくれてよかったです」。鳥谷の通算1991本目となるヒットで先制点をプレゼントした。さらに続く北條のレフトを襲った打球をバレンティンが突っ込んで後逸。ラッキーなタイムリー三塁打となり2点目「鳥谷さんが先制タイムリーを打たれていたので僕も続こうと」。なおも一死三塁の追加点機が続いたが、坂本が空振り三振。再三にわたってギャンブルスタートを切っていた三塁走者の北條が飛び出していて中村に刺されて併殺になった。

 3回裏にヤクルトの先発、石川からレフトへプロ初ヒットを放ち気分も乗ってきた小野は、ボールが先行し制球に苦しみながらも4回からはクイック気味にフォームを修正、5回は3者凡退に抑えて勝利投手の権利を得た。その裏、阪神は一死から坂本がバレンティンの落球で出塁。二死一、三塁となってから「つなぐことを考えて打席に入った」という上本がセンター前タイムリーで3-0と貴重な追加点を加えた。