トヨタ自動車の豊田章男社長(写真:ロイター/アフロ)

 もうじき9月相場。本来なら「収穫の秋」を意識した活発な先取り買いが広がっておかしくない時期だ。しかし、足元の状況は正反対。北朝鮮問題やトランプ政権の不安定などを嫌気する格好で、8月半ば以降、東京株式市場がすっかり元気を失っている。8月29日には北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したことから、日経平均が一時、1万9280円と5月初めの水準まで下落。マーケットは先行き警戒ムードに包まれている。

 こうした状況に喝(かつ)を入れる存在として今後、注目度が強まりそうな一番手銘柄にトヨタ自動車(7203)がある。実際、このところのトヨタ株の値動きに先高の芽を指摘する市場関係者も増え始めた。なぜ、いま、トヨタなのか――。(解説:証券ジャーナリスト:神田治明)

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業績相場の切り札

 9月相場の切り札として、トヨタが注目されるポイントは3つ。それぞれが全体相場の方向に影響を与える重要な意味を持つ。

 まず、最初のポイントは、トヨタの市場全体に及ぼす相場的なインパクトだ。

 トヨタの株式時価総額は8月29日現在、19.9兆円。東証1部上場銘柄の時価総額ランキングで見ると、2位のNTT(9432)の11.2兆円、3位のNTTドコモ(9437)の約9.6兆円、4位のソフトバンク(9984)の9.2兆円を大きく引き離し、ダントツの水準にある。トヨタが動くことで、東証1部市場全体の時価総額(29日時点で598.9兆円)もかなり変動するため、国内機関投資家にとっては運用するうえでのコア・ストック(中核銘柄)だ。

 トヨタは、いわずとしれた製造業のトップ企業。株式市場では「王道銘柄」とも呼ばれ、業績を重視する相場の流れに最もふさわしい銘柄とマーケットでは位置づけられている。海外での現地生産を含むグローバルな経営戦略に対する外国人投資家の関心も高く、8月半ば以降の調整局面から日本株が抜け出す場合、フロントランナーとして走り出す可能性は十分にある。

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