2010年に社内公用語の英語化を決定した「楽天」。すべての会議やデータなどの資料作成などもすべて英語になっているといいます。追随する企業も少なくありません。その中で、これまでのような外国人講師を招いて講義を受けるといった学習方法ではなく、英語学習アプリを取り入れ、社員がゲーム感覚で英語のリスニングなどを学べる学習方法を導入する企業が増えているといいます。

 多くの企業から「会社全体の英語力を強化したい」「英語力が低いことが生産性低下につながることを抑えたい」という要望が増えていることを受けて、楽天子会社で英語学習アプリを供給している「ReDucate」の田中耕平社長と、英語公用語化のプロジェクトリーダーとして取り組んだ楽天の教育事業部ジェネラルマネージャー、葛城崇氏に、英語学習の現在を聞きました。

集合研修などの英語教育ではうまくいかなかった

[写真]英語学習アプリについて語るReDucateの田中社長(左)と楽天の葛城氏

――社員の英語力アップを求める企業は増えていますが、英語学習アプリを導入する企業が目立ってきているのはなぜでしょう

田中氏「日本市場の飽和感の中で、メーカーを中心に海外に展開していかなければ生き残れないという危機感を持つ企業は多い。海外でスムーズに仕事を進めるためには、社員の英語力アップも当然必要。ReDucateでは『きこえーご』というリスニング強化が期待できるアプリを2015年から供給しているが、(タクシー大手の)エムケイや(複合レジャー大手の)ラウンドワンなどすでに20社以上に導入してもらっている」

葛城氏「楽天が公用語化を決めた後、1年弱はなかなかうまくいかなかった。最初はよくやるような集合研修などの教育を進めたが、選ばれた層ができるだけで、英語が苦手な人は不満を感じる人も少なくなかった。そこで中学生レベルの単語をやり直すことに立ち戻り、約3000語の英語をマスターすることで、社員の英語力が上がったと感じた。英語はとにかく毎日少しでもやることが大切。さらに会社全体がバックアップしているという姿勢を示すことが重要。英語学習アプリはその意味で社員のペースでできるのが強みだ。組織として全員で英語学習に取り組むことが成功につながるのではと感じる」

「きこえーご」はネイティブが話す1分程度の短文や動画を見て、自分で同じ英文を作成するといった英語学習をスマートフォンでできるアプリ。その人の実力に合わせて教材を選んでくれるといい、1日5~10分程度でできて、調子が良ければさらに先にと学習を進められる。自分の理解度が上がるとコインを集めることができ、自分の島(アイランド)を育てられるゲーム感覚が特徴という。

田中氏「スマートフォンなら、すき間時間に勉強できるのが強み。体調、気分によって勉強時間数も調整できる。特にリスニングは繰り返し聞くことで実力は上がる。スマホはその点でも向いている。試験の点数を話し合うことは難しいが、アイランドのランクなどを持つことで、アプリのファンになったという声もよく聞く。英語を避ける人の入口として効果が高いと思う。企業側も集合研修などを日常的に行うのは大変でコスト面でもメリットがある。5000人、1万人規模の社員の英語力を把握するのは難しく、こうしたアプリは効果が期待できる」