小売り最大手の米ウォルマート・ストアーズと米グーグルがネット通販事業で提携します。これまでネット通販の世界ではアマゾンが先行していましたが、リアル店舗では圧倒的な規模を持つウォルマートとIT業界の巨人であるグーグルが結びついたことで、状況が激変する可能性が高まっています。

写真:ロイター/アフロ

 両社は23日、ネット通販事業で提携すると発表。AI(人工知能)を搭載したスマート・スピーカーを用いて、AIと会話しながらショッピングができるようにします。この分野ではアマゾンが「エコー」という商品を発売しており、高いシェアを持っています。

 グーグルも同様の製品である「グーグルホーム」を英語圏とフランス、ドイツで販売していますが(日本語版は年内投入の予定)、同社はアマゾンほどのECサイトを持っていないため、情報提供などに限定されていました。グーグルはウォルマートと組むことで、一気にアマゾンを超える大規模な顧客網を手にしたことになります。

 当初は、ウォルマートがグーグルのネット通販・宅配サービス「グーグル・エクスプレス」に商品を出品するという形ですが、提携が順調に進めば、ウォルマートの店舗網との連携がスタートすることはほぼ間違いないでしょう。

 ウォルマートは圧倒的な規模を持つ巨大小売店で、年間の売上高は何と50兆円を超えます。日本のコンビニ最大手であるセブン-イレブンの全店売上高はわずか4兆5000億円ですから、まさにケタ外れの大きさです。しかもウォルマートはネット通販に力を入れており、2016年にネット通販企業のジェット・ドット・コムを買収するなど立て続けにネット関連企業を買収し、アマゾンを猛追しています。

 ウォルマートは全米に店舗網を展開しているため、米国民の大半が自宅から短時間でウォルマートの店舗に行くことが可能です。ウォルマートの店舗は、ネット通販で購入した商品の受け取り場所となっており、昼間にスマホで注文した商品を帰宅途中に店舗で受け取るという使い方が増えています。

 もしウォルマートの実店舗網とグーグルのAIが連携すれば、こうした使い方がさらに進化すると考えられますから、これまで独走状態だったアマゾンには脅威となるでしょう。

 アマゾンは今年6月、高級スーパーであるホールフーズを買収すると発表し(買収は8月28日に完了)、ネットとリアルの融合を進めていく方針を明らかにしました。つまりアマゾンとウォルマートは、結局のところ同じ方向を目指しているわけです。ネットの存在が当たり前となった今、リアルとネットという区分はもはや古い概念なのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

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