TOTO、ニコン、SUBARU、森永乳業……。日本を代表するこれら企業の共通点は何でしょうか? 実はいずれもちょうど100年前、1917(大正6)年に誕生したメーカーです。

 こうした100年の節目を迎え、いわゆる“老舗”の仲間入りした企業は全国1118社。1世紀を超え、活躍し続けるにはどんな理由があるのでしょう。

長野で一番の老舗企業は室町時代からのホテル 創業300年以上は20社

第1次世界大戦 輸出急増期に創業した会社が世界的企業に成長

今年創業の節目を迎えた主な国内老舗企業

 東京商工リサーチ情報本部の調査では、明治以降(1868年~)の創業で比べると、100周年を迎えた企業が1000社を超えた年はこの1917年を含めて10回しかない、といいます。

 では、この年に創業した企業にみられる特徴は何でしょうか。ちょうど、第1次世界大戦(1914~1948年)の主戦場が欧州だったことを経緯にした日本製品の輸出急増期と創業が重なり、「世界的な企業にまで成長した製造業が多い」という分析です。

 実は老舗大国の日本。100周年だけでなく、ことし200周年の企業は4社、300周年は34社、江戸幕府を開いた徳川家康が亡くなった翌年1617年創業で400周年を迎えた企業も5社あります(同本部調査)。

時代の荒波を乗り越える老舗企業の強さとは ──

 経済が世界規模で動くようになり、大企業といえども生き残っていくことは並大抵のことではなくなりました。例えば、2008年の米国サブプライムローン問題に端を発した「100年に1度」の世界同時不況の余波が、米国経済の象徴である自動車産業を直撃、ビック3といわれていたゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーが経営破綻。このうち「GM(創業1908年)は創業100年を超える名門で、企業が永続的に繁栄することの難しさを垣間みせた」(同本部・関雅史さん)といいます。

 こうした中、「行き過ぎた『利益市場』のグローバリゼーション型経営にも疑問符が打たれ、『日本型経営』の見直し機運が高まった」。中でも「日本型経営の長所が随所に見られる」のが「創業100年超えの長寿企業」とみています。

 具体的には「本業を重視しながら、時代に合わせて変化する柔軟性」、「身の丈にあった経営」、「従業員重視の信頼経営」などを挙げます。創業当初の家訓や、社是などを保持しているところも多いそうです。

 また、日本の老舗企業は「繰り返された戦災や自然災害、経済危機など計り知れない苦難の歴史の目撃者であり、その都度、困難を乗り越えられた原動力は、経営者のリーダーシップだけでなく、事業継続の強い『信念』、長年培った品質・ブランドに裏打ちされた『信用』、そして時代に即した柔軟な経営感覚も大きい」、「こうした要素の積み重ねと、今も継続に力を発揮している世代との融合が、世界でも数少ない長寿企業の特徴かも知れません」(同)と評しています。

 例えば、今は洗面器や温水型便座など衛生用品で日本トップシェアのTOTOは、もともと東洋陶器株式会社として出発。これら衛生用品は、当時の日本の生活様式にまだ普及していなかったため、市場規模は小さいものでした。そうした中、第1次世界大戦で生産能力を落とした欧州に代わり、コーヒーカップ類などを販売しながら成長、住宅の近代化が進む1970年ごろまでは、食器生産を続けました。

 また、めんつゆなどで知られるヤマキは、もともと鰹節の個人商店からスタート。第2次世界大戦中、食料の統制で工場廃業という危機もありましたが、戦後の食生活の変化、調理簡素化のニーズに合わせ、粉末の鰹だしや鰹パック、液体めんつゆを発売することで、業績を伸ばしました。

 100年を超えた老舗企業が今後も活躍し続けるには、「信用」「信念」といった長年かけて得た長所に加え、これまで発揮してきた時の流れをよみ、柔軟に対応する力、そして変化することを恐れない行動力を維持できるか、ということにかかっているのかもしれません。