オープンギャラリーとして屋外でも写真が展示されている(撮影:倉谷清文)

 今年の1月、都内で行われたある移住・交流・地域おこしのイベントに行ってきた。およそ300もの地方自治体のブースが並び、わが町の魅力を伝えようと一生懸命PRに力を入れている。

 日本全体でも人口減少に転じている中、都市部への人口流出による減少の課題を抱えている自治体が多い。観光で訪れるならまだしも移住となるとそう簡単に決断できることではないだろう。

 しかし、その中でも人口減少を食い止め、増加へと転じさせている自治体がある。そんな町の一つ、北海道のほぼ中央に位置する東川町。その理由はなぜ、魅力はいったいどこにあるのだろうか。


フォト・ジャーナル<町民の心捉えた写真の町 北海道東川町>倉谷清文第7回

 東川町が「写真の町」宣言をしたのは1985年6月、今から30年以上も前のことだ。

 当時、東川町には北海道一の高さを誇る旭岳、旭岳温泉、天人峡温泉などの観光資源に恵まれてはいたものの、他の地方自治体同様の過疎化が進んでいた。地元の特産品を売りに町おこしをする「一村一品運動」が起こる中、東川町もそれでいいのかと議論がされた。

 協議の末、「写真」という文化で町おこしをする決断をする。当然のことながら、町の税金をそんな文化的事業に費やすのはどうかという反対意見も少なくはなかったという。しかし、町は住民と丁寧に対話をし、一過性のものに終わらせないために条例に盛り込み継続性のあるものにした。

 なぜ町おこしに「写真」を選んだのか。東川町は美しい自然景観に恵まれていること、写真は人と人をつなげるコミュニケーションツールであるとともに多くの文化活動に関わっていけること、写真映りの良い住環境や町民の個性を引き出すことができる、という狙いがあったという。

 ただその狙いがほんとうに当たっているのかどうかを知るには時間がかかることであり、当時その決断が正しかったのか不安がなかったとは言えないだろう。ただ、30年という時間を経て、その成果が確実にここ東川町に根付いている感じがした。(つづく)

(2017年7、8月撮影・文:倉谷清文)

※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<町民の心捉えた写真の町 北海道東川町>倉谷清文第7回」の一部を抜粋しました。

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