大雪旭岳源水(撮影:倉谷清文)

 今年の1月、都内で行われたある移住・交流・地域おこしのイベントに行ってきた。およそ300もの地方自治体のブースが並び、わが町の魅力を伝えようと一生懸命PRに力を入れている。

 日本全体でも人口減少に転じている中、都市部への人口流出による減少の課題を抱えている自治体が多い。観光で訪れるならまだしも移住となるとそう簡単に決断できることではないだろう。

 しかし、その中でも人口減少を食い止め、増加へと転じさせている自治体がある。そんな町の一つ、北海道のほぼ中央に位置する東川町。その理由はなぜ、魅力はいったいどこにあるのだろうか。

フォト・ジャーナル<町民の心捉えた写真の町 北海道東川町>倉谷清文第7回

 東川町を説明する時、「3つの道がない町」と町長は語る。

 3つの道とは「国道」「鉄道」「上水道」のことだ。一般的にはマイナスの印象を受けるが、上水道は逆の話だ。大雪山が蓄えた雪解け水が長い年月をかけて地中に染み込み、粘土堆積層で濾過され東川町へと運ばれてくる。

 東川町に暮らす人たちはみんなその地下水を生活水として利用している。全家庭が地下水のまちは、全国でも5カ所しかないそうだ。水温も一年を通じて6〜7度と安定していて、マグネシウムやナトリウムなどのミネラルがバランスのよく含まれた天然水の恩恵を受けている。お風呂、洗濯の水まで天然水とはなんとも贅沢な環境である。

 その中でも最上級と言われる源泉の大雪旭岳源水では、毎分4,600リットルの水量の水がこんこんと湧き出ている。「平成の名水百選」に選ばれた源水の近くの取水場では多くの人が容器を持ち込んで汲んでいる姿が見られた。「これ一月分ですよ。コーヒー、お茶でも全然(味が)違うよ」とトランクいっぱいにペットボトルを積み込んだおじさんが教えてくれた。(つづく)

(2017年7、8月撮影・文:倉谷清文)

※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<町民の心捉えた写真の町 北海道東川町>倉谷清文第7回」の一部を抜粋しました。