お気に入りの「君の椅子」に座る大西家の3兄妹。左から恵登くん、旬くん、莉瑚ちゃん(撮影:倉谷清文)

 今年の1月、都内で行われたある移住・交流・地域おこしのイベントに行ってきた。およそ300もの地方自治体のブースが並び、わが町の魅力を伝えようと一生懸命PRに力を入れている。

 日本全体でも人口減少に転じている中、都市部への人口流出による減少の課題を抱えている自治体が多い。観光で訪れるならまだしも移住となるとそう簡単に決断できることではないだろう。

 しかし、その中でも人口減少を食い止め、増加へと転じさせている自治体がある。そんな町の一つ、北海道のほぼ中央に位置する東川町。その理由はなぜ、魅力はいったいどこにあるのだろうか。

フォト・ジャーナル<町民の心捉えた写真の町 北海道東川町>倉谷清文第7回

 「写真の町」として町おこしをしてきた東川町だが、地場産業のひとつ、旭川家具の職人が多く在住する「木工の町」でもある。町内で生まれてきた赤ちゃんに町内の家具職人が作った手作りの椅子をプレゼントする「君の椅子」事業を行っている。

 中学校では入学時に名前の入った新しい椅子が渡され、卒業時に3年間使用した椅子をプレゼントするという取り組みをしている。小学校、中学校で子供たちが使用する椅子と机も、地元の職人が手がけたものだ。

 東川町の子供たちは、幼い頃から地元産の家具に浸しみを持つ環境になっている。毎年職人が自分たちの使っている机を丁寧にリペアしてくれている姿も見ている。中学校の頃の机といえば我々の時代、彫刻刀で彫った落書きの一つや二つはあたり前だった。でも当然のことながら東川町の小中学校ではそんな机は一つもないという。(つづく)

(2017年7、8月撮影・文:倉谷清文)

※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<町民の心捉えた写真の町 北海道東川町>倉谷清文第7回」の一部を抜粋しました。