現在の所得や収入に満足している人の割合が上昇しているという調査結果が話題となっています。確かに、ここ2~3年の間に満足している人は増えており、政府ではアベノミクスの成果であるとしていますが、果たしてこれは本当なのでしょうか。

アベノミクスの成果なのは違いなさそう

(写真:アフロ)

 内閣府では毎年、国民生活に関する世論調査を実施し、生活面での満足度などについて調査を行っています。2017年の調査結果では、所得・収入の面において満足(満足している+まあ満足している)と回答した人は51.3%でした。一方、不満(やや不満+不満)と回答した人は46.9%でした。満足しているという人から不満という人の割合を引いた数字は4.4ポイントとプラスになりましたが、この数字がプラスになったのは実に21年ぶりのことです。

 政府は満足度が向上したのは、アベノミクスの成果であるとしていますが、その話はあながちウソではなさそうです。アベノミクスのスタート以後、一度、数値が落ち込んだことがありますが、満足している人の割合が年々増えているからです。

でも実質的な生活水準は下がってる?

 ただ実際に賃金が増えているのかというのはまた別の話です。労働者の実質賃金はアベノミクスがスタートした2013年以降、3年連続で低下し、2016年にようやくプラスに転じた状況です。名目上の賃金は上がっているものの、物価の上昇に追いつかず、実質的な生活水準は下がっています。

 両者の乖離を考えると、賃金に対する満足度というのは、実質賃金が上がれば確実に上昇するものではないことが分かります。物価の上昇を考慮しない名目上の賃金は2013年こそマイナスでしたが、その後はプラスを維持していますから、仮に物価が上がっていても、名目上の賃金が上昇することは精神的な満足度に大きく貢献しているようです。

満足度を維持するために必要なこととは?

 同調査における他の項目を見るとその傾向はよりはっきりしてきます。去年と比べた生活感の向上という項目では、向上しているという人の割合は6.6%しかありません。つまり生活が向上していないことはよく自覚しており、その中で現状の賃金に満足しているという様子がうかがえます。

 ちなみに、生活感の向上に関する項目は、過去20年以上にわたってあまり数字が変わっていません。この数字が大きく変化したのは、何と40年以上も前、オイルショック直後の1974年でした。

 それまで生活が向上していると回答した人の割合は30%近くありましたが、1974年を境に一気に10%前後に急落、バブル崩壊後は数%という状態が続いています。当時は激しいインフレでしたが、インフレが進行すると生活感は急激に悪化するということが分かります。満足度をうまく維持するためにはインフレが行き過ぎないようにする必要がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)

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