山口俊の処分を巡って巨人と選手会が全面対決している。どちらの言い分が正しいのか?

 巨人が飲酒暴行トラブルを起こした山口俊投手(30)に下した処分と、その経緯を巡って、巨人と労組プロ野球選手会の争いが終わらない。

 巨人は4日、労組選手会側から「処分は重すぎて不当」と、再検討要求を受けていた問題に関して「処分は適切であり、確たる根拠もなく、球団と選手との私的な契約に不当に介入するもの」という反論を12球団実行委員会で、熊崎コミッショナーへ文書で提出。全面対決の様相となってきた。

 ここまでの経緯をおさらいすると、山口が酒に酔って器物損壊及び傷害トラブルを病院で起こしたのは7月11日未明。一連の野球賭博問題などから、コンプライアンスをひきしめていた巨人は、この事態を深刻にとらえ、山口と話し合いを持った上、罰金と減俸を合わせて推定1億円を超えるとされる高額のペナルティと今季終了までの出場停止処分を下し、8月18日には、山口が謝罪会見を行った。

 だが、8月25日に労組プロ野球選手会が「刑事処分的に逮捕事案でもなく、既に被害者との示談も成立している事案での総額1億円以上の金銭的ペナルティは明らかに重すぎる不当なもの」と抗議して巨人に再検討を要求。同時に、熊崎勝彦コミッショナーと実行委員会へ適切な調査や裁定などを要請した。

 巨人と山口の両方からヒアリングを行っていた選手会は、「複数年契約の見直しを迫り、同意しなければ契約解除(解雇)するとの条件を提示し続けた」という交渉経緯を暴露。球団が優位な立場を利用して契約を見直させたことは、独占禁止法に抵触し、FA制度の根幹にもかかわる問題だと指摘した。

 では、どちらの意見が正しいのか。
 これらの問題の是非を議論するポイントは2つあるだろう。
 ひとつは推定1億円以上と言われている罰金と今季出場停止の処分が重いのか、軽いのか、という議論。
もうひとつは、巨人が契約解除をちらつかせて、複数年契約の見直しを図った経緯に問題があるのか、ないのかという議論だ。
 
 処分が重いか、軽いかについては、巨人がこの日の回答書で「処分内容は妥当。むしろ軽すぎるとの声が多く寄せられている」とした。
 軽すぎるの声が、どこに、どういう形で寄せられ「多く」を示すデータも何も提示されていないため、この巨人の主張は議論するに値しないが、ネット上で飛び交うコメントは「軽すぎる」というものが目立つ。

 そして「1億円以上のペナルティ」も、両者からヒアリングした選手会側が文書化しているが、では、山口の3年7億円とも10億円とも言われている複数年契約の正確な数字もわからないため、1億円以上が彼の年俸の何パーセントに相当するのかもわからない。

 過去の罰金例を見ると、最高額が、審判にボールを投げつけた元巨人ガルベスへの4000万円。1997年に発覚した脱税事件で、複数のプロ野球選手が起訴されたときも、コミッショナーからの制裁金は最高で小久保裕紀氏への400万円で、出場停止処分が8週間だったことを考えれば、この山口の罰金は重いのかもしれないが、脱税事件も20年も前の話で、年俸の変遷を考えると単純比較は難しい。