韓国の現代自動車が中国市場で工場の稼働を一時停止するという事態に追い込まれています。米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備に反発する中国当局の報復との見方がもっぱらです。

2012年北京モーターショーに出展した現代自動車(写真:ロイター/アフロ)

 報道によると、韓国の現代自動車は中国にある4つの工場での生産を一時停止。その後生産を再開したものの、再び1つの工場の稼働を中断したそうです。韓国は米国の意向を受け、地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を韓国国内に配備しましたが、これに中国が猛反発。中国の国内では、韓国製品に対する不買運動にまで発展しています。これによって現代自動車の中国市場での販売は急激に落ち込み、4~6月期は7割近くも減少しました。一部の工場では、部品の購入代金の支払いが滞る事態となり、現代では工場の操業停止を決断したというわけです。

韓国・星州郡に配備された迎撃ミサイル「THAAD」(写真:ロイター/アフロ)

 中国の自動車産業は国策となっており、外資系企業が中国国内で自動車を生産・販売するためには中国側と合弁企業を設立しなければなりません。現代は北京汽車集団と合弁を設立していますが、北京汽車側が部品メーカーへの支払いに難色を示しているといわれています。北京汽車は中国政府が所有する国営企業ですから、一連の稼働停止や支払いの滞りは、かなり人為的なものといえます。つまり、事実上の中国政府による報復と考えるのが自然でしょう。

 中国の自動車市場における外資系メーカーとしては、米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)が圧倒的な立場を築いています。現代の販売台数は年間約100万台と上位2社には及びませんが、トヨタや日産、ホンダなど日本メーカーとは互角のシェアを持っています。

 日産やホンダは中国市場向けにEV(電気自動車)の販売を強化する方針を打ち出しており、日産はすでに東風汽車集団との合弁企業設立を発表しています。ホンダもモーターなどの基幹部品について現地で調達する方針を明らかにするなど、中国での現地生産に力を入れたい意向です。

 このまま現代の販売不振が続いた場合、日本メーカーの中国市場での販売動向にも影響が出てくる可能性があります。現代のシェア低下が日本車の購入につながるのであれば、日本メーカーにとっては販売台数を伸ばすきっかけとなるでしょう。

 一方、今回の件で、中国には極めて大きな政治的なリスクが存在することもはっきりしてきました。政治的に中国と対立してしまった場合には、中国国内での操業が困難になる可能性について検討しておく必要がありそうです。中国市場は巨大ですが、それなりのリスクもあるわけです。

(The Capital Tribune Japan)

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