阪神の藤浪がまたしても四死球で崩れた。その制球難はメジャーのスティーブ・ブラス病に重なる(資料写真・黒田文夫)

阪神の藤波晋太郎(23)の苦悩が続いている。12日に先発した巨人戦も、4回、坂本勇人に与えた死球をきっかけに崩れて失点を重ねてKOされ、また勝てなかった。「右打者に変化球が抜ける」という課題が克服できていない。今季は開幕から制球が安定せず、5月末に2軍落ちするまで、7試合に登板し40回2/3で36四死球。8月27日の巨人戦でも七回、村田への死球から崩れ、6回1/3を3安打3失点。5日の広島戦も4四死球が絡み4回5失点。5月4日のヤクルト戦以来、勝ち星から見放され、また2軍に落ちた藤浪が持つ問題は、メカニックか、メンタルか。もしそれが後者ならば、実に厄介だ。

 かつてパイレーツに、スティーブ・ブラスという投手がいた。

 1968年から72年までの5年間で78勝44敗、防御率3.05をマークし、72年には19勝8敗、防御率2.49で、ナ・リーグのサイヤング賞投票で2位に入っている。

 ところが、73年は3勝9敗と低迷し、88回2/3イニングを投げて、84個も四球を与えている。それまで9イニングあたりの四球数は3.0。それがいきなり8.5に跳ね上がった。74年はメジャーでの登板機会がわずかに1試合。5回を投げて7つの四球を与えると、翌年の春、32歳で引退した。

 好投手だった彼に何があったのか。1988年6月16日付のシカゴ・トリビューン紙に彼のコメントが載っているが、「今も原因は、分からない」と答えている。

 当時、フォームを徹底的に見直したそう。心理学の先生にもアドバイスを仰ぎ、瞑想もした。あらゆることを試みたものの、ブルペンでは良くても、打者が立つとボールは荒れた。

 いずれにしても、以来、大リーグではそうした突然の症状をスティーブ・ブラス病と呼ぶようになっている。

 苦しめられるのは、なにも投手だけではない。知られるところではドジャースなどで活躍し、オールスターゲームにも5度選出されたスティーブ・サックス(1981〜1994)、 ツインズ、ヤンキースに所属したチャック・ノブロック(1991〜2002)らがいる。二塁手だったノブロックは外野に転向してキャリアの延命を図ったが、長くはもたなかった。サックスは、父親の死をきっかけに克服した。
  

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