メジャーリーグでハイテク機器を使ったサイン盗みが問題になっている。(写真:アフロ)

米大リーグのレッドソックスがアップル・ウォッチを使ってサインを盗んでいたことが大きな騒動となっている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ア・リーグ東地区のライバルチーム、ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMが米大リーグ機構へ申し立てを行い、MLBが調査に乗り出しているという。

 複数のメディアがこの問題について報じていて、そのサイン盗みの手口も明らかになっている。

 ボストン・グローブ紙によると、審判の判定に対して疑問や異議がある時にビデオ判定を要求できる「チャレンジ制度」が2014年から採用されるようになったことで、どのチームもクラブハウスにきわどいプレーをリプレーできるモニターがあり、それが利用されたという。

 レッドソックスの場合、スカウティング補佐がゲームを見て、どのプレーでチャレンジを要求すべきかジョン・ファレル監督に伝えているが、チームのスタッフがこのリプレーシステムを利用してサインを盗み、その情報をダグアウトにいるアスレチック・トレーナー助手が腕にはめているアップル・ウォッチに送信。トレーナー助手が、近くに座っている選手にその情報を伝え、同選手が塁上にいる選手へ何らかのサインで伝達。さらに塁上の選手が打者にどの球が来るかの球種を合図していたというのだ。

 ヤンキースはトレーナー助手がその情報をブロック・ホルト選手とダスティン・ペドロイア選手に回し、同選手らが、二塁上にいたクリス・ヤング選手へサインを送り、さらにヤングが打者に合図を送っていた場面をビデオに捉え、MLB機構へ送っている。ヤングはMLBから事情聴取を受けたというニュースも出た。

 ハイテクと従来のジェスチャーでのサインを合体させたサイン盗みである。

 これらのスクープを受けてワシントン・ポスト紙は、「盗みに加わったペドロイアとホルトは罰則を受ける可能性があり、レッドソックス自体も今回の件で罰金か将来のドラフト指名権を失うことになるだろうが、テクノロジーを使わずにサインを盗むことはゲームの一部として受け入れられている。しかし、ロブ・マンフレッドコミッショナーや、試合の関係者らは今回の件を野球とテクノロジーの関係についてはっきりさせる機会として捉えるべきだ。なぜなら現在の両者の関係は複雑さの寄せ集めで矛盾しており、それがこのようなスキャンダルを招いているからだ」というコラムを掲載した。

 同紙は、「クラブハウスに続く通路では許されてもいいが、ダグアウトでの携帯電話やインターネットに繋げられるディバイスの使用を禁止すればいいことなのか? リーグでは今ビデオのリプレーが許され、監督がインターネットに繋がっていないタブレットを使って相手の打者と投手のデータを出すことができる。しかしその一方で、投手と捕手の間では、今も捕手の手によるサインによって投球が決まる。それをすることで二塁走者はサインを盗み見することができる。試合はハイテクにもローテクにもなることができる。でもその中間にいる現在(MLBは)不安定な状態だ」と現状を問題視。

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