掛布2軍監督は情熱をもって若手を育てたのだが2年の契約満了で退任となった。

阪神の掛布雅之2軍監督(62)が今季限りで電撃退任することが9日、明らかになった。11日にも正式発表される。2年間の契約満了に伴う退任で球団は十分に役割を果たしてくれたと判断した。掛布2軍監督は発表後もシーズン終了まで指揮を執り、今後、球団は坂井オーナー付けの相談役として、チーム残留を要請する方向だ。後任の2軍監督人事は、現在ファームの打撃兼野手総合コーチの今岡真訪(42)が有力視されている。

 掛布2軍監督は、故・中村勝広GMから「若手打者を育てて欲しい」という要請を受け2013年の秋季キャンプから、ゼネラルマネジャー付育成&打撃コーディネーター(DC)として若手の育成にかかわり、2015年オフに金本監督の誕生と同時に2軍監督に就任。現役引退から28年ぶりにユニホーム復帰していた。
 
 掛布2軍監督は、金本監督の「超変革」を2軍から支える形で、この2年間で多くの若手を1軍へ送りだした。今季19本塁打の中谷将大、代打の切り札となっている伊藤隼太は、DC時代からスポンジボールを使いホテルの部屋でマンツーマンで教えてきた“元祖掛布チルドレン”。2015年のドラフト1位、高山俊は、スタートの1か月をファームのキャンプで預かり、新人王への土台を作り、昨年、育成からブレイクした原口文仁も4番で使い続けて金本監督に1軍昇格を推薦した。

 また若手だけでなくベテランの再生やモチベーションアップにも力を貸し、大和のスイッチ転向をバックアップ、西岡剛や糸井嘉男のリハビリ組などもサポートした。2軍に落ちてきた藤浪晋太郎に対しても個人面談をするなど、その復活を内面からフォローしていた。

 ミスタータイガースの背番号「31」が復活したことで新旧の阪神ファンが沸き、鳴尾浜の2軍戦は満員札止めが続き、甲子園で行われた2軍戦では、異例とも言える1万人を超えるファンがかけつけた。

 ファームのチーム成績に関しては、1年目は57勝54敗7分で3位、今季は46勝55敗8分で3位まで2.5差の最下位と苦しんでいるが、球団も掛布2軍監督の指導力を高く評価していた。だが、2年目に入り金本監督が期待していた広島カープ型の育成方針と、掛布2軍監督が考えて、実戦していた主体性を重んじる指導との間に“微妙なズレ”が生じたため、元々ファームの指導体制の世代交代が計画されていたことも手伝い、球団は掛布2軍監督に求めていた役割は、この2年間で十分すぎるほど果たしてもらったと判断。最終的には、2年間の契約満了に伴う“勇退”という形で、次の世代の監督へのバトンタッチ人事が進められることになった。

金本阪神のCS出場は、ほぼ間違いない状況の中での異例の電撃退任劇となったが、球団は、今後も掛布2軍監督の持つ見識や、野球理論をチームに還元してもらいたいとの考えで、坂井オーナーの阪神の功労者を大事にしたいという強い希望もあってオーナー付きの相談役としてチームへの残留を要請する考え。

 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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