これまで人の感性に依存する部分が多いと思われてきたクリエイティブな仕事にも、AI(人工知能)化の波が押し寄せています。近い将来、デザイナーやコピーライター、作曲家といった仕事は激減してしまうかもしれません。

人工知能が自動的にコピーを生成

写真:アフロ

 広告代理店大手の電通は今年5月、人工知能を使った広告コピー生成システム(ベータ版)を開発しました。同社では以前から広告コピーの内容が実際の広告効果にどう影響するのか評価を行ってきました。一連の評価で得た結果と、大学の人工知能に関する研究結果を組み合わせ、人工知能が自動的にコピーを生成するシステムを開発しました。

 AIによって自動的に広告コピーを生成することができると、状況に応じてリアルタイムにコピーを変えていくことができます。より能動的に消費者に訴えかけることができますから、広告の費用対効果が上昇すると期待されています。今のところ、広告の付加価値向上のためにAIを活用することを想定しているわけですが、こうしたシステムが完成しているということは、近い将来、コピーライターの数が大幅に減ると考えてよさそうです。

AIにかなりの部分を任せられるように

 これまで広告のコピーやCMの演出、デザインといった仕事はクリエイティブな領域とされ、人の感性が重視されてきました。確かに本当の意味で芸術的な分野というのはいつになっても人が作り上げていくものかもしれませんが、同じクリエイティブな分野といっても商用目的の場合はだいぶ様子が異なります。

 現在のAIの技術を用いれば、今回の電通のケースのように売れそうなコピーを作ることや、人の目を引く演出、多くの人が好む曲を自動的に生成することはそれほど難しくありません。デザインについても、多くの人に受け入れられる普遍的なものであれば、AIにかなりの部分を任せることができるでしょう。

1割の有能なクリエーターと9割の凡庸なクリエーター

 音楽に関するAIの能力については、世界最大の音楽配信会社スポティファイで実証済みです。スポティファイは利用者の再生履歴から好みの音楽を推定し、それを連続して再生するという機能があります。今では多くの配信会社が同様のサービスを提供していますが、スポティファイがこのサービスをスタートした時は、あまりにも自分の好みに合った曲を選択してくるということで、世界中の音楽ファンを驚かせました。

 他の業界と同様、クリエイティブな仕事の世界でも、1割の有能なクリエーターと9割の凡庸なクリエーターで構成されているというのが現実です。AIによってこうした仕事が消滅することはありませんが、一部の有能なクリエーターはAIを使って今までの何倍もの生産性を実現できるでしょう。こうした人に仕事が集中してしまうのは、ほぼ確実といえそうです。

(The Capital Tribune Japan)

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