宅配便最大手のヤマト運輸が、荷物の取扱量を前年度より8000万個減らすという計画を撤回したと報道されています。想像以上に法人客が値上げを受け入れているというのがその理由とのことですが、何ともスッキリしない感覚が残ります。

写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

 ヤマト運輸は、アマゾンなどネット通販からの配送依頼が急増し、現場が疲弊しているとの理由から、配送料金の大幅な値上げを決めるとともに、2017年度における荷物の取扱量を8000万個削減する計画を明らかにしていました。同社が配送した荷物の量(宅配便)は、2015年度が17億3100万個、16年度が18億6700万個となっており、2016年度を基準にすると8000万個という数字は全体の4.3%に相当します。

 ところが同社は、早くもこの目標を撤回してしまいました。報道によると、法人など大口顧客が想定以上に値上げを受け入れたことから、取扱量の削減が進まず、年間3600万個の削減に下方修正したとのことです。しかしながら、この話については額面通りには受け取らない方がよいとの声も聞こえてきます。

 もしアマゾンなどの大口顧客がいくらでも値上げを受け入れるなら、さらに値上げを実施して取扱量を目標値まで減らすことは不可能ではありません。ヤマトは未払いの残業代の支払い増加で業績が悪化しており、2017年4~6月期決算では100億円の営業赤字に転落しています。値上げが実施しやすい環境なら、さらに思い切って値上げをすることで、業績を回復させ、従業員の給料も増やすことができるでしょう。

 そうなっていないということは、アマゾンなど大口顧客との交渉が難航している可能性が考えられます。ヤマトとしては値上げを強行すると大量の顧客が離れる可能性があり、一方、現状のままでは単価が安く利益を出しにくいという状況なのかもしれません。

 確かに荷物の急増は、アマゾンなどネット通販事業者の事業拡大が原因ですが、ネット通販の荷物が急増することは分かりきっていたことです。それにもかかわらず、十分な体制を組むことができず、未払いの残業代を発生させていたヤマトの経営陣には一定の責任があると考えるべきでしょう。

 宅配の事業はもはや公共インフラに近い存在となっており、働き方改革という点でも社会の注目を集めています。同社は今回の目標撤回や今後の戦略について、さらに踏み込んだ情報公開をしていく必要がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)

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