仕事でSNSを使うことの是非がよくネットで話題となりますが、ビジネスにおけるSNS利用とは縁遠いイメージのある人たちが、思わぬ理由でSNSを活用するケースもあるようです。

(写真:ロイター/アフロ)

 元マネックス・ユニバーシティ社長で、現在は資産運用のアドバイスなどを行っている内藤忍氏は、自身のブログで、銀行マンと仕事のやり取りをする際にSNSを使う頻度が増えてきたと述べています。この話は、銀行の内部事情に少し詳しい人からすると、少々驚きの話です。

 銀行はコンプライアンス(法令遵守)という観点から、外部との連絡手段に制限をかけることが多く、電子メールが自由に送受信できなかったり、個人のアドレスが使えないケースも珍しくありません。しかしながら現実には、顧客と柔軟にやり取りができなければ仕事にならないことも多く、銀行マンは建前と現実の板挟みになって苦労しています。

 内藤氏は、銀行マンがSNSを多用していることについて、コンプライアンスが過剰であるため、仕事熱心な銀行マンは、プライベートなSNSを使って密かに顧客対応をしているのではないかと推察しています。これはあくまで内藤氏の推測ですから、実際のところは分かりませんが、銀行の実態を考えると十分にあり得る話です。

 この話はセキュリティというものの本質を突いているといってよいでしょう。セキュリティを厳しくすれば、厳しくした部分から情報が流出するリスクは減りますが、それが他の分野にどのような影響を与えるのかはまったくの別問題です。今回のように、セキュリティが厳しいからといって別の連絡手段を使ってしまっては意味がありません。

 逆に、セキュリティを甘くしてしまえば、プライベートな連絡手段を使う社員は減りますが、その経路からの情報流出リスクは高まります。このバランスをどう確保するのかで、企業のコンプライアンス担当者は常に頭を悩ませることになります。

 一方、情報が漏洩するケースのかなりの割合が、外部からのハッキングではなく、内部からの流出であるという点も、あまり認識されていません。いくら情報システムのセキュリティを強化しても、特定の意図を持って情報を外部に流出させようという社員がいた場合には、これを防ぐ方法はほとんどありません。USBへのデータコピーを制限しても、ゴミ箱に不用意に捨てられた内部文書を持ち出すことはそれほど難しいことではないからです。結局のところ、あらゆる可能性についてうまくバランスを取っていくしか対策はなさそうです。

(The Capital Tribune Japan)

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