福士蒼汰と川口春奈が共演したドラマ「愛してたって、秘密はある。」(日本テレビ系)が17日に最終回を迎え、ひと波乱あった。これで終わりと思いきや、インターネットのオンライン動画配信サービス・Huluでの”本当の完結編”につなげたところから、「これまでの10話は、Huluに加入させるための宣伝だったのか」「視聴者に対する裏切りだ」などと、ツイッターが炎上したのだ。しかし今後、こういったパターンのドラマが増える可能性がある。どういうことなのか。

無料で視聴できるとはいえ、HuluのPRなのは事実

 最終回で突然の告知だっただけに、炎上は誤解による部分も大きかった。Huluには2週間の無料トライアル期間がある。継続利用せずに無料トライアル期間のみで解約すればお金がかかることはない(Huluチケットでの決済を希望する場合は無料トライアルが適用されないから注意が必要)。つまり、実際には、完結編は無料で見ることができるのだが、課金されてしまうと思ってしまった人も少なくなかった。最終回から課金サービスへつなげるとは何事か、と反感を買ってしまったのだ。

 ただし、無料で視聴できるとはいえ、HuluのPRになっているのは事実。無料トライアル期間は、「愛ある」の完結編だけでなくほかのドラマ、たとえば海外ドラマやHuluだけで見ることのできるオリジナルドラマなども見ることができるので、そのままHuluを継続利用する人も一定数はいるだろうし、それを見越してのHuluとの連動だろう。

ネット時代突入で、地上波苦戦 ネット提携などの模索はこれからも続きそう?

 ネット時代に突入以来、地上波テレビ局の苦戦が伝えられる。番組視聴のあり方も昔と比べ変化してきて、視聴率の算出方法についてもどんなやり方が実態に即しているのか議論されるような時代になった。ネット時代に、いかに生き残るか。日本テレビとHulu、テレビ朝日とAbema TV、フジテレビとFODなど、各局が独自の動画配信サービスを本格化させる方向に舵を取って久しい。今年春には東京、大阪、名古屋の民放テレビ局15社が、番組のネット配信システムに共同出資する提携を発表して話題を呼んだ。テレビとネットで同時に番組を流す「ネット同時配信」の実現に備える意図もあると見られている。これまでは、広告収入や地方局の視聴者が減るリスクを考え、慎重だったのだが、ネットフリックスなど海外からもネット動画の大手が進出し、民放各社は危機感を募らせていた。ネットをいかに取り込むか、連携するかは、ここ数年、避けて通れない課題となった。ネットで動画配信するとDVDの売上が伸びる、地上波で見逃した人が動画配信を見て地上波に戻ってくる、といったメリットが期待できるともいわれる。

 まさに、あっちを見てもこっちを見ても問題山積という状況にあって、地上波放送局はいかにネットを取り込むか、ネットとうまくやるか、その先に活路を見出そうとしている。地上波放送局には、コンテンツの制作能力をはじめこれまで培ったノウハウ、蓄積がある。今回の”本当の完結編”騒動も、ネット時代にフィットしたスタイルを模索する中での出来事と捉えることができる。視聴者にとって、地上波テレビと動画配信サービスは、まだまだ”地続き”ではない。Huluで無料トライアル期間を利用すれば無料で視聴できるとはいえ、また、その手続きも普段ネットを使っていれば簡単なものであるとしても、やはりテレビシリーズはテレビシリーズとしてまとめて欲しい、といった意見もある。今後も同種の試行錯誤は続きそうだ。

(文・志和浩司)

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